会社にとって重要なルールが就業規則です。しかし、意外と見逃されがちではないでしょうか。会社ごとのルールを設ける必要があるため作成は面倒ですが、会社や従業員を守る意味から、ぜひ基礎知識を得るようにしてください。
目次
就業規則とは?
就業規則とは、会社が設けるルールのことです。たとえば、賃金・休日・休憩などのルールがあります。規則は従業員が守るべきルールで、従業員10人以上を常時雇用している場合は、作成し届け出をする義務があります。
中小企業だと就業規則がないこともありますが、雇用側だけでなく従業員にとっても、規則があると働きやすいでしょう。会社側のメリットは、ルールを明確化することで会社のリスクを軽減することです。雇用される側は、給料など働く条件を明確にしてもらい、安定して働けるようになります。
就業規則作成の対象は、労働基準法にある常時10名以上の雇用の場合です。労働者は正社員や臨時職員だけでなく、パートやアルバイトも含まれています。派遣社員や業務委託契約をしている人は対象に含まれません。作成や届け出の義務があるのも関わらず作成しないと、30万円以下の罰金があるため注意してください。
基本的な就業規則について
会社で就業規則を作成する場合は、次に紹介する基本的な規則を設けましょう。とくに、以下で紹介する絶対的必要記載事項は含めるようにしてください。
始業や終業時間
労働時間に関する項目では、始業や終業時間を明確にします。たとえば、支店により就業時間が異なる場合は、支店ごとに記載しましょう。本社と工場で終業時間が異なる場合もあります。
休息や休暇
休息時間は、労働基準法に基づき設定します。労働時間が6~8時間までは45分間の休息時間、8時間以上は1時間の休息時間が必要です。また、休暇は週に1日以上、4週に4日以上必要です。労働基準法では、1週間の労働時間の上限が40時間までのため、勤務時間と休息で調節します。
賃金
賃金では、賃金の額や支払い日などを記載します。記載内容が膨大になる場合は、別途作成しても構いません。
昇給
一度給料が上がった場合では、基本的に給料が下げられることはありません。ただし、業績悪化などやむを得ない事情がある場合もあるため、記載しておきましょう。賃金条件の変更は労働者が不利になりやすいため、変更の際に労働者の合意が必要です。
退職や解雇
退職や解雇では、どのような場合に当てはまるのか記載します。また、定年になる年齢も記載しましょう。
就業規則を作成したほうがいい理由
そもそも何のために規則を作成するのか、その理由を理解しておきましょう。作成する理由は、会社や従業員を守るためにあります。
会社のモラルが維持できる
会社に一定のルールがあることで、社内のモラルが維持できます。たとえば、就業時間や休息の時間が明確になり、ルールに従って働くようになるでしょう。従業員がモラルを守ることで、団結感も生まれやすくなります。
問題があれば懲戒処分にできる
従業員がルールを破った際には、懲戒処分にすることができます。解雇理由を明確に記載しておけば、万が一の際でも会社を守ることができるでしょう。また、転勤に対する会社の命令を拒否する場合のルールも含めることができます。明確なルールがなければ、従業員が問題を起こしても解雇や転勤させることができず、会社の損失は大きくなるでしょう。
従業員に安心感を与える
規則は、従業員を守る意味もあります。明確なルールを記載することで、問題があれば従業員は改善を申し出ることができます。会社が労働基準法に違反していれば、労働基準監督署へ意見書を提出することも可能です。適切なルールがある会社なら、従業員は安心感をもちやすくなるでしょう。
会社の問題が見えやすくなる
規則により、経営者が見えない会社の問題を可視化することができます。たとえば、サービス残業をさせていないか、過労働やうつなどの問題はないか、セクハラ等の問題はないかです。これらは社会的な問題となっており、会社は規則で具体的な対策を記載する必要があるでしょう。
副業のルールを明確化できる
近年では副業を認める会社が増えており、規則でルールを明確化する必要が出てきました。副業を許可する場合でも、どのような副業ならいいのか、詳細を記載するようにしましょう。また、会社によっては副業を認めないルールが必要かもしれません。
時代に合った規則にできる
働き方改革により、テレワークを進める会社も増えてきました。幅広い人を雇用し働きやすい環境を整えるため、テレワークに対する規則も必要になるでしょう。規則は時代に合わせて変えていくことも可能です。また、テレワークの実施では、性別や年齢・国籍を問わず雇用できる機会が増える可能性があります。
一定以上の従業員がいる会社では、就業規則を作成しましょう。作成は面倒ですが、会社や従業員を守るためにあります。内容は法律に基づくものですが、条件に当てはまっていれば会社が自由にルールを作成しても構いません。作成方法でわからない点があれば、社会保険労務士など専門家に相談しましょう。