大田区は、東京都の南部に位置しており、23区でも最も面積が大きな区です。北側で品川区や目黒区、世田谷区と境を接し、南西側は多摩川を挟んで神奈川県川崎市という場所にあります。
大田区といえば田園調布に代表されるように高級住宅街というイメージを持っている方も多いでしょう。また、大田区のおよそ4分の1の面積を占める羽田空港があることでも知られ、工場や物流施設が多いエリアであるというイメージもあります。
しかし、近年は再開発により駅前や工場跡地に大型の商業施設や高層マンションが次々に建設されています。また、都心へのアクセスが良いことから規模の大きいオフィスビルも増加傾向です。
ここでは、大田区を蒲田エリアと大森エリアに分け、それぞれのエリアの特徴と主要駅をご紹介していきます。
各エリアのオフィス事情についても触れていますので、蒲田や大森でオフィスを検討されているならぜひ参考にしてください。
目次
蒲田エリア
蒲田エリアは、大田区のほぼ中央に位置する蒲田駅を中心としたエリアです。大田区の行政の中心地であり、大田区役所もこのエリアにあります。
蒲田エリアの主要駅は、都内を代表するターミナル駅の一つである蒲田駅です。JR京浜東北線、東急池上線、東急多摩川線の3つの路線が乗り入れており、京浜東北線を利用すれば品川駅までは10分ほど、東京駅や横浜駅へも20分ほどでダイレクトにアクセスすることができます。
特に品川駅は、山手線や東海道線、横須賀線、都営地下鉄浅草線、京成電鉄など乗り入れ路線が豊富であり、品川駅で各路線に乗り換えることで、新宿駅や渋谷駅といったオフィス街へも20分から30分で移動することが可能です。新幹線も停車するので、出張などでも便利に利用することができるでしょう。
東急池上線は、蒲田駅と品川区最大の繁華街である五反田駅を結ぶ路線です。東急多摩川線とほぼ並行して走っており、旗の台駅からは東急大井町線に、戸越銀座駅からは都営浅草線に乗り換えることができます。
蒲田エリアには、蒲田駅から徒歩10分ほどの場所には京急本線と京急空港線の2つの路線が乗り入れている京急蒲田駅もあるのです。
京急本線は、港区の泉岳寺駅から神奈川県の浦賀駅までを結ぶ路線で、快速に乗れば品川駅まで6分、京急川崎駅まではわずか3分、横浜駅へも10分で到着します。神奈川方面へ出かける頻度が高いのであれば、京急蒲田駅を使ったほうが便利なことも多いでしょう。
また、京急空港線を利用すれば京急蒲田駅から10分で羽田空港ターミナル駅へアクセスすることができます。出張で頻繁に飛行機を利用するといった場合には非常に便利です。
蒲田エリアは、江戸時代から海運の拠点として発展してきた歴史があり、昭和になってからエリア内に羽田空港が開業されたこともあって、物流の街、工場の街として日本の経済を支えてきました。しかし、平成以降は郊外や海外へ移転する工場や物流センターが増えたことから、再開発によって跡地に大型のマンションや商業施設が次々に建設されるようになりました。
特に、蒲田駅前は商業施設が建ち並び、大田区でも最大の繁華街を形成しています。
蒲田駅の西口は商業ビルと住宅が複合したエリアで都内でも有数の繁華街ですが、少し離れると個人商店も多く、落ち着いた雰囲気があります。
一方、東口は再開発によって駅前のさかさ川通りもきれいに整備され、モダンな街並みが広がるエリアです。オフィスが多いのもこのエリアで、特に蒲田駅から京急蒲田駅にかけては比較的規模の大きなオフィスビルも点在するオフィス街が形成されています。
蒲田エリアのオフィスの賃料相場は、30~50坪以下の物件で坪単価約15,000円、50坪~100坪の物件で約12,500円、100坪を超える大規模オフィスで約13,700円となっています。大田区を代表するエリアということもあって区内でも賃料は高めですが、アクセスの良さやビジネス街としてのブランドを考慮すれば高すぎるということはないでしょう。
高層のオフィスビルも比較的多いので、大きなオフィスを探しているなら蒲田エリアはおすすめです。
大森エリア
大森エリアは、大田区の北東部に位置する大森駅を中心としたエリアです。大森駅周辺は、武蔵野台地の東端にあり、海に向かってどんどん海抜が下がっていくので、坂道が多いエリアとなっています。
台地には、古くから人類が生活をしていた形跡が残っており、その代表的な遺跡が大森駅の西側にある大森貝塚です。
遺跡からは縄文時代後期を中心とする集落跡や貝層が見つかっています。また、このエリアは大正から昭和にかけて多くの文士が居を構えたことでも有名です。当時の地名から馬込文士村とも呼ばれたこのエリアには、川端康成や尾崎士郎、広津和郎、萩原朔太郎、室生犀星などの著名な文士が100名以上移り住んできました。
このエリアの主要駅である大森駅は、京浜東北線のみが停車する駅ですが、乗り換えのない単独路線の駅としてはJRの管轄する駅で最大の乗降客数があります。東京の玄関口とも呼ばれる品川駅までは2駅、所要時間として6分という場所にあるのも大森駅の大きな特徴です。
品川駅はJRや私鉄、地下鉄合わせて6つの路線が乗り入れる大ターミナル駅であり、品川駅を経由することで都内の主要な駅へスムーズにアクセスすることが可能です。東京駅や横浜駅へは乗り換えなしでダイレクトにアクセスすることができるので、アクセスの面で不便を感じることはないでしょう。
また、同じエリアには大森駅から東側に歩いて10分ほどの場所に京浜急行の大森海岸駅があります。京浜急行は泉岳寺駅で都営浅草線と接続しているので、日本橋駅などへの移動に便利ですし、羽田空港へも20分ほどで移動することができます。
出張が多い業種や職種であれば、企業の拠点を大森エリアに置くのは優良な選択肢の一つになるでしょう。大森駅周辺は、住宅地・商業地・ビジネス街が一体となっているのが特徴のエリアですが、駅の西口と東口でまったく別の表情を持っています。
西口は駅前に商業施設が建ち並んでいるものの、少し離れると住宅街が広がっており、特に山王と呼ばれる地区は、同じ大田区の田園調布に負けずとも劣らない高級住宅街として非常に人気の高いエリアです。
一方、東口はもともと工場が建ち並んでいたエリアですが、現在は再開発によって工場跡地に大型商業施設やオフィスビルなどが建設されています。蒲田エリアほどではないものの、高層のオフィスビルも見つけることができるでしょう。
以前は町工場が多かったことから、現在でもものづくりに関わる企業が多いのが特徴です。
また、オフィスの賃料相場が30~50坪以下の物件で坪単価約12,000円、50坪~100坪の物件で約12,500円、100坪を超える大規模オフィスで約13,600円と、蒲田エリアに比べると若干低めになっていることから、IT関連の企業がスタートアップの拠点としてオフィスを構えるケースも目立ちます。
臨海部には、しながわ水族館大井競馬場平和島競艇場など、集客力のあるレジャー施設も多く、ビジネスチャンスに恵まれた環境があるので、オフィスを構えるにはおすすめのエリアと言えるでしょう。
まとめ
ここまで、大田区の蒲田エリアと大森エリアの主要駅とその特徴について見てきました。同じ大田区にあっても、蒲田エリアと大森エリアでは街の特徴に違いがあることがわかっていただけたでしょう。
オフィスという観点から見ると蒲田エリアには高層の大型オフィスビルもありますが、大森エリアは中層・低層のオフィスビルが主流です。大田区でオフィスを探しているなら、こういった特徴も考慮しながらオフィスを探してみてはいかがでしょうか。