大森といえば、昭和世代の方は海苔をイメージするかもしれません。一方、しながわ水族館がある大森海岸駅を思い起こす方など、さまざまだと思います。
大森はどんな特徴や歴史がある街なのか、見ていきましょう。
目次
大森の特徴
大森は、歴史の教科書にも登場した大森貝塚が発掘された場所で、人が暮らし始めてからの歴史は長い地域です。
東京都品川区に位置し、JR京浜東北線の大森駅が最寄り駅となっており、2駅で品川駅に到着します。わずか2駅しか離れていなくても、JR山手線の外に出ると、賃料相場は下がる傾向があります。
そのため、大森は都心へのアクセスも便利なうえ、賃料相場やマンション価格などがわずかでも下がるので、住宅街としても人気の地域です。
オフィス街と住宅地が融合する地域
大森は、品川駅からも2駅と近い駅であり、駅周辺には商業施設やオフィスビルが多いです。ランチタイムや仕事後には、スーツを着たビジネスマンなど、働く人の姿も多く見られる地域です。
一方、駅から徒歩圏にマンションも多く、住宅街としても人気があります。駅周辺には商業施設も多く、交通の便もいいので、通勤や通学もしやすいです。そのため、子育て中のファミリー層や共働きのディンクスカップルを中心に、シングルの社会人にも人気があります。
鉄道網も道路網も便利なので、休日でも買い物やレジャーに出やすく、新幹線が発着する品川駅もすぐなので、旅行や帰省にも利便性が高いのが魅力です。
公園などの環境が整う地域
大森海岸駅周辺もオフィスをはじめ、マンションや戸建て住宅が建ち並ぶ住宅街が広がっています。
大森海岸駅には、ドラマの舞台にも使われた、トンネル水槽のあるしながわ水族館をはじめ、大きな池や庭園、サイクリングコースなどがそろうしながわ区民公園があります。緑豊かな自然や子どもを遊ばせる場所、リフレッシュできる場所がそろっているので、暮らしやすい地域です。
大森の歴史
社会の教科書や日本史の教科書などで、日本考古学上最初の遺跡として、大森貝塚を学んだ経験があると思います。
この貝塚の大森という場所こそ、現在の東京都品川区にある大森があるエリアです。貝塚は人が暮らしていた歴史を示す遺跡なので、大森の歴史は非常に古くから続いていることが分かります。
大森の古い歴史を見ていきましょう。
海苔の養殖地
大森は東京湾に面しており、貝を食べて暮らしていた貝塚が残っていることからも、古来より海とともに暮らしてきた歴史があります。江戸時代に大森は、海苔の産地として有名でした。
日本の海苔養殖の歴史は、ここからはじまっています。大森で培われた養殖技術と乾海苔の加工技術が、江戸時代の終わり頃から全国各地へと広がっていきました。
昭和30年代の高度成長期に入ると、東京湾界隈では埋め立てが進んだり、臨海地域の工場地帯から工場排水が東京湾へと流れ込んだりして、海の汚染も進んでいきます。
このため、昭和37年(1962年)に、大森の海苔漁従事者は漁業権を放棄し、伝統的な養殖の歴史が終わりました。そして、大森にあった海苔業者は、海苔の加工問屋となりました。
養殖した海苔をイチから加工するのではなく、全国にある別の産地から運び込まれてくる海苔を原料に、火入れや焼きといった仕上げ加工を行って出荷するようになったのです。
海苔養殖が行われなくなってから、現在でも海苔問屋が残っており、海苔の故郷の伝統が感じられます。
鉄道と街の発展の歴史
明治5年(1872年)に、新橋・横浜間で日本初の鉄道が開通し、その4年後の明治9年(1876年)に大森駅も開業しました。明治後期になると、現在の京急本線である京浜電気鉄道も開通しています。
交通の便が良く、歌川広重の浮世絵にも描かれた8つの美しい景色が望める八景園と呼ばれる景勝地があったことから、別荘地や高級住宅街が築かれていきます。大物政治家や実業家、高級官吏、高級将校などが自宅を構えたり、別荘を構えたりするようになっていったのです。
そのようななか、実業家であった久我邦太郎が、明治17年(1884年)に大森駅の西側の台地に、約3万3,000㎡の広大な敷地を購入します。そして、八景園という庭園を開設するとともに、明治24年(1891年)には海水浴場を整備して開業しました。
明治26年(1893年)には料理屋や宿泊施設もでき、明治32年(1899年)には森ケ崎で鉱泉が発見されます。続々とレジャースポットが開設されたことで、大森や大森海岸周辺には、鉄道を使ってレジャーに訪れる人が増えていきました。
戦後の意外な歴史
大森には第一京浜などの幹線道路が走り、高度成長期に続々と発達した臨海工業地帯も近く、物流などの面でもメリットがありました。そのため、高度成長期には、大森の地にも工場が進出しています。
東京でビールというと恵比寿が有名ですが、実は大森にもビール工場がありました。アサヒビールの東京大森工場が昭和37年(1962年)に完成し、都心の一角でビール製造が行われていました。
アサヒビールの看板商品であるスーパードライも、この工場から生み出されたといわれています。
平成に入っても工場は稼働していましたが、平成14年(2002年)に老朽化に伴い閉鎖され、工場は神奈川県に移転しました。また、いすゞ自動車の創業の地も大森です。
2022年5月に、神奈川県に本社が移転されてしまいましたが、戦前から長くこの地に本社を置いていました。いすゞ自動車をはじめ、国内大手企業が共同出資で設立した大森ベルポートは、大森駅から徒歩3分、大森海岸駅からも徒歩4分という好立地です。
有名企業の本社や支社が入るなど、大森の一大オフィスゾーンとなっています。大手企業のオフィスが多いことから、関連企業をはじめ、中小企業やベンチャー企業がオフィスを構える場所としても、大森は人気があります。
大森の交通アクセス
大森には、JR京浜東北線の大森駅があります。JR京浜東北線を使えば、新幹線が発着する品川駅をはじめ、田町駅や新橋駅、有楽町駅、神田駅などのオフィス街に出られます。
また、羽田空港へつながるモノレールに乗り換えられる浜松町駅、東京駅や上野駅などの主要ターミナル駅にも出やすく、便利です 。
京浜東北線は、横浜駅など神奈川方面にもつながっています。ビジネスでの移動はもちろん、神奈川方面や関東近県からの通勤にも便利な路線であるため、人材採用にも有利に働きます。
立地によっては、京急本線の大森海岸駅も利用可能です。品川駅とつながるほか、羽田空港や成田空港にもスムーズに行きやすい路線となります。神奈川方面ともつながっており、横浜駅や横須賀駅、浦賀駅まで通じているので、営業などビジネスでの移動はもちろん、神奈川方面からの通勤にも便利です。
大森周辺には第一京浜が走るとともに、首都高速湾岸線などの高速道路が走り、インターチェンジも近いことから、車でのアクセスも便利な地域です。
大森のオフィス賃料相場
大森の賃料相場の坪単価は、20坪~30坪のオフィスで16,600円、30坪~50坪のオフィスで14,500円、50坪~100坪のオフィスで15,000円、100坪~200坪で16,200円、200坪以上のオフィスで17,600円となっています。
立地や駅からの距離、周辺環境をはじめ、ビルの規模や築年数、セキュリティや設備によっても変動するので、確認が必要です。
まとめ
大森は、JR京浜東北線や京急本線が使えるので、ビジネスの移動にも通勤にも便利です。第一京浜や首都高速湾岸線などの幹線道路も走っているため、車での移動もスムーズです。
オフィス街と住宅街が融合したような地域で、飲食店やスーパー、コンビニなど生活利便施設も多いため、オフィスで働く際も快適に仕事ができます。