かつての大崎は、JR山手線の駅でありながら、ほかの駅に比べると目立った商業施設もなく、工場やオフィスがあるだけの場所でした。しかし、再開発を経て、大きく進化を遂げています。そんな大崎の特徴や歴史を見ていきましょう。
目次
大崎の特徴
大崎は東京都品川区にあり、品川に隣接するエリアです。近年の再開発により、大きく変貌を遂げているのが特徴です。
かつては、ビジネスパーソンのみが降り立つような場所でしたが、近年はファミリー層なども増えています。
オフィス街
大崎はかつて工場街であり、工場が郊外へと移転してからは、オフィス街として発展してきました。大手企業が本社を構え、朝夕のラッシュ時には多くの通勤客が賑わう場所でした。
一方で、都心中心部の駅とは異なり、目立った商業施設はなく、一般の方の利用はあまり見られない場所だったのです。
再開発で進化
大崎が現在のように変貌を遂げたのは、再開発の影響です。再開発は、大きく2回に分けて行われています。
東京都が大崎を含むエリアを副都心に指定し、品川区などと連携して再開発を行っていきました。それが1982年のことで、工場の跡地にビルを建設していきました。その中心的存在になったのが、大崎ニューシティです。
1987年に竣工したビルで、噴水と緑を配した広場O-パティオを囲むように5棟の超高層ビルが並び、大崎駅から直通でアクセスできます。さらにそこから10年あまりを経て、1999年にはゲートシティ大崎が誕生しました。
こちらも大崎駅から直結で、単なるビルの集まりではなく、巨大複合機能都市を目指したものです。2棟のオフィスタワーとショッピング施設やレストランゾーン、文化施設などを備えた地上24階建ての業務商業棟に加え、地上20階建ての超高層マンションが完成しました。
これによって、大崎はただ働くだけの場所ではなく、買い物をしたり、グルメを楽しんだり、文化に親しんだり、暮らす場所にもなりました。
高層タワーマンションが続々と建設
ゲートシティ大崎ができたことを皮切りに、駅周辺には続々と高層タワーマンションが建っていきます。働くだけのビルが建つ場所ではなく、駅近で便利な都心暮らしができるような暮らしの場が充実したことで、集う層にも変化が生じています。
ビジネスパーソンだけでなく、小さな子どもを連れた家族連れなどの姿も増え、職・住近接の暮らしが実現できる環境が整いました。
大崎の歴史
大崎はJR山手線のなかでは目立たない駅でしたが、一方で車庫があり、山手線始発駅としてのイメージがあるかもしれません。工場街があり、ものづくりの街として発展してきた大崎は、やがてオフィス街へと成長します。
さらに再開発を経て、都心の暮らしや買い物なども楽しめる場所へと変化してきました。
どのような歴史をたどってきたのか、見ていきましょう。
大崎に集まる工場と鉄道の開通
現在のJR線の大崎駅にあたる駅は、明治時代の1901年に開業しました。当時の大崎は、目黒川の舟運を活用できたことから工場が集まる地域で、鉄道の開通でより注目されることになります。
大崎の工場の歴史を語るうえで欠かせないのが、品川硝子製造所(のちの興業社)です。
品川硝子製造所は、鉄道駅が開業する以前から、大崎の地に日本初となる板ガラス工場を設けました。
また、品川白煉瓦(現・品川リフラクトリーズ)も、早くから大崎でレンガ製造を行っていました。鉄道開業以前の1896年から工場を構えるのが、日本ペイントの前身である光明社です。
大崎に工場を構えたことで、現在のJRである帝国鉄道庁の指定工場となり、鉄道車両の塗装を一手に引き受けることになりました。
工場街化と街の形成
目黒川の水が利用できるため、鉄道駅開設以前から工場が集まっていた大崎は、大崎駅の開通により続々と工場が増えていきます。高砂工業や日本精工、星製薬などが、続々と工場を構えていきました。
工場街となったことで、大崎駅周辺には工員さん向けの定食屋や居酒屋などの店が多く、一般の方が買い物やグルメを楽しむようなお店はありません。工場の周辺に、独身の工員さんが住む木造アパートがあるものの、基本的には働く場所です。
そのため、大崎駅は工員さんが通勤で利用する駅となり、一般の方はあまり利用しない駅でした。
オフィス街化
高度成長期を経ると、都心部にある工場は手狭となり、多くの企業が臨海部や郊外、さらに海外へと工場を移転させていきます。
これによって、広大な工場の跡地ができたことから、大崎の再開発がはじまっていきます。東京都の副都心構想のもと、1987年には日本精工や星製薬の工場跡地に、大崎ニューシティが完成しました。
大崎駅と直結した、5棟の高層オフィスビルがつくられたのです。これを皮切りに、大手企業が本社を移転させるなど、大崎はオフィス街化していきました。
新たな流れ
さらに再開発が行われ、1999年にはゲートシティ大崎が完成しました。大崎ニューシティとの大きな違いはオフィスビルだけでなく、商業施設や文化施設に加え、住宅棟が設けられたことです。
これまで長く働く場所であり、工員やビジネスパーソンだけが乗り降りしていた大崎が、若いカップルや家族連れなども集う街へと進化していくのです。ゲートシティ大崎の誕生を契機に、続々と超高層タワーマンションが建設されるなど、暮らす場所としても人気を集めています。
2002年にはJR線に加えて、りんかい線が通ったことで新たな流れも生み出しました。お台場などのビジネス街に向かう人が、大崎駅で乗り換えをするようになったり、お台場から戻ってきた人が大崎駅で降りて飲食をしたりするようになります。
りんかい線の発着駅なので、新たに大崎にオフィスを構える企業も増えています。
大崎の交通アクセス
大崎には、JR線の大崎駅と、東京臨海高速鉄道りんかい線の大崎駅、東急池上線の大崎広小路駅があります。JR線の大崎駅を利用すると、都心の移動に便利な山手線をはじめ、神奈川方面と埼玉方面を結ぶ埼京線や湘南新宿ラインなどが使えるので、便利です。
ビジネスでの移動をはじめ、通勤にも使えるため、大崎にオフィスがあれば人材採用にも有利に働きます。
東急池上線も、戸越銀座駅や蒲田駅などの都内で人気のベッドタウンにつながっているため、通勤に使いやすいです。
東京臨海高速鉄道りんかい線を使うと、IT企業などが集まる天王洲アイル駅やお台場の東京テレポート駅、国際展示場駅などにダイレクトにアクセスできます。国際展示場では、頻繁にビジネス目的の展示会が開催されるため、出展するにもビジネスチャンスを探しに行くにも便利です。
大崎駅西口バスターミナルからは、成田空港や羽田空港とつながるリムジンバスを利用できます。さらに、全国主要都市へと向かう高速バス、東急バスの路線バスなども使えるため、出張などにも便利な駅です。
大崎のオフィス賃料相場
大崎の賃料相場の坪単価は、30坪~50坪のオフィスで17,800円、50坪~100坪のオフィスで20,700円、100坪~200坪で15,000円、200坪以上のオフィスで23,100円となっています。
大崎駅か大崎広小路駅が最寄り駅かどうか、駅からの距離、周辺環境をはじめ、オフィスビルの築年数や規模、設備やセキュリティ、サービスによっても変動するので、確認が必要です。
まとめ
大崎は工場街からオフィス街へと変化し、さらに高層タワーマンションも駅近に増えたことで、職・住近接の働く場所であり、暮らせる場所にもなってきました。
再開発によって進化を遂げる大崎は、交通の便も良く、オフィスを構えるにもおすすめの場所の1つです。