江古田というと、どんなイメージをお持ちでしょうか。
かつて一大ブームとなり、ドラマ化やアニメ化された漫画に登場する名前として、インプットされている方もいるかもしれません。また、大学に通った思い出の地という方もいるでしょう。
今回は、江古田の特徴や歴史を見ていきます。
目次
江古田の特徴
江古田は練馬区にあるエリアで、池袋からほど近い場所にあります。大学のキャンパスが集まる学生街であるとともに、昔ながらの商店街が数多く残る、下町風情が漂う住宅街でもあります。
どのような特徴があるのかを見ていきましょう。
芸術系の大学が集まる街
江古田には、複数の場所にキャンパスを置かず、江古田キャンパスのみの歴史ある武蔵大学があります。
音楽大学の武蔵野音楽大学や日本大学芸術学部など、芸術系の大学のキャンパスが多いのが特徴です。そのため、江古田の街には、楽器や画材などを抱えて歩く学生や、練習の場所として使える音楽スタジオも多く見られます。
武蔵野音楽大学の江古田キャンパスには、ベートーヴェンホール、ブラームスホール、モーツァルトホールの3つのホールが設けられ、学生さんの発表の場や卒業記念コンサートなどの場として利用されています。
実践的な演奏ができることで、学生さんの技術向上につながり、音楽家としての経験を積む場となっているのです。コンサートによっては、地域の方にも開放されているので、地域の方も音楽や芸術に触れられる場が広がっています。
なかでも、ベートーヴェンホールは、昭和35 年に日本で初めての本格的なコンサートホールとして誕生した価値あるホールです。音響効果の良いホールとして国内外から注目を集め、学生だけでなく、多くの音楽ファンに親しまれてきました。
さらに2017年、江古田キャンパスに新校舎を建てるに伴い、最新の音響設計に基づいた意欲的なデザインのブラームスホールが建設され、伝統と先進的な技術を併せ持つ環境が整いました。
日大芸術学部は、音楽や美術をはじめ、写真、映画、文芸、演劇、放送、デザインといった学科があります。映画監督や脚本家、写真家、エッセイスト、タレントなど、名だたる有名人を輩出してきた名門で、ニチゲイと呼ばれて親しまれています。
学生街
江古田には、武蔵大学、武蔵野音楽大学、日本大学芸術学部があるので、周辺に暮らす学生も多く、飲食や買い物、遊びと学生が集う場所も多く見られます。
安くてボリュームがある飲食店や、女子学生やカップルが集まるお洒落なカフェ、気軽に集まれる居酒屋なども多いのが特徴です。
大きな楽器を抱えて歩く人や、個性的なファッションやヘアスタイルを楽しむ、芸術学部の学生さんなどの姿も見かけられます。
学生さんが練習をしたり、仲間とセッションを楽しんだりする音楽スタジオや、院生や卒業生などが講師を務めるピアノ教室、声楽教室などの音楽教室も少なくありません。
学生向けの賃貸住宅というと、賃料が安いアパートなどがイメージされますが、江古田の学生向け住宅は防音設備などが整い、楽器OKの学生向けマンションが多いのが特徴です。なかには、グランドピアノも設置できる高級賃貸マンションなどもあります。
商店街が多い街
江古田は、アート系の学生が多い街である一方、庶民的で下町風情の漂う街でもあります。親しみやすい雰囲気は、地方から進学する学生さんにとっても安心できる街並みです。
江古田は、大型店よりも個人商店が多く、江古田市場通り商店会、江古田駅北口商店会、江古田銀座商店会、栄町本通り商店街振興組合、日大通り商店会などがあります。
さらに、旭丘銀座商店会、旭丘千川通り商店会、旭丘中央商栄会、旭丘東商店会、旭丘文化通り商店会など、多くの商店街が今も元気に営業しています。
生鮮食品から加工食品、雑貨や日用品、靴や衣類のお店をはじめ、学生にも人気の安くてボリュームたっぷりの飲食店、美容室などのサロンもそろっているのが魅力です。
人気漫画の舞台
武蔵野音楽大学は、武蔵野音楽大学二ノ宮知子さんの「のだめカンタービレ」に登場した主人公たちが学んだ、桃ヶ丘音楽大学のモデルとなったといわれています。
また、東京砂漠でフリーターとして暮らす女性の姿が共感を呼び、実写ドラマ化やアニメ化もされた瀧波ユカリさんの漫画「臨死!! 江古田ちゃん」は、江古田エリアに暮らす女性を描いたものです。
地味で知名度は高くなかった江古田が、全国的に知られるようになったのは、この漫画がキッカケかもしれません。
江古田の歴史
江古田は、どのような歴史を持つ街なのかを見ていきましょう。
大学と鉄道の歴史
江古田の駅が開設されたのは、武蔵野大学の設立と大きな関係があります。現在の武蔵大学および東京の名門学校として有名な、武蔵高等学校・中学校の前身となる旧制武蔵高等学校は、大正11年(1922年)11月1日に設立されました。
武蔵高等学校の設立に合わせて開設された武蔵高等学校用仮停留所が、後の江古田駅になります。江古田駅は西武池袋線の駅で、武蔵高等学校の創立者である根津嘉一郎氏は、西武鉄道の前身である武蔵野鉄道の大株主でした。
株主としての力を生かし、鉄道駅の開設に導いたのです。
もっとも、武蔵高等学校専用の仮停留所なので、学生が通学する朝と夕方の時間帯のみ、列車が停車する駅だったといいます。その約2年後の大正13年(1923年)に、江古田駅として地域に開かれた駅が開業しました。
商店街の歴史
江古田駅の北側には、駅の開業とほぼ同時に誕生した江古田市場があり、地域の台所として賑わっていました。戦争により、物資の供給が難しくなったものの、戦後まもない昭和27年に再興を果たします。
しかし、建物の老朽化などにより、平成26年(2014年)12月末で閉鎖されてしまいました。それでも、江古田市場通り商店会として、経営を続けている商店も少なくありません。
一方、お店がなくなったエリアは、住宅街として変化を遂げています。
江古田の交通アクセス
江古田には、西武池袋線の江古田駅があります。西武池袋線を使うと、池袋駅までわずか4駅なので、交通アクセスも便利です。
池袋駅では、JR山手線をはじめ、湘南新宿ラインや埼京線も使えます。都心部への移動はもちろん、神奈川方面や埼玉方面との通勤もしやすいです。
池袋駅は東京メトロ丸の内線、有楽町線、副都心線の3つの地下鉄をはじめ、西武池袋線と東武東上線も通っている一大ターミナル駅になっています。池袋駅で乗り換えれば、江古田への通勤もしやすく、ビジネスでの移動も便利なのがメリットです。
また、江古田の立地によっては、西武有楽町線の新桜台駅や、東京メトロ有楽町線・東京メトロ副都心線の小竹向原駅も使えます。
有楽町線に直接乗れれば、乗り換えの手間はなく、飯田橋駅や市ヶ谷駅、永田町駅、有楽町駅、銀座一丁目駅などのオフィス街に出やすいです。副都心線を使えば、渋谷駅へもダイレクトに出られます。
江古田のオフィス賃料相場
江古田の賃料相場の坪単価は、13,000円前後です。駅からの距離や立地、周辺環境、オフィスビルの築年数や設備などによっても変動するので、確認が必要です。
池袋駅へのアクセスが便利な一方、山手線の外に出るので、池袋に比べると賃料相場も低くなる傾向が見られます。
オフィスを構えるにも、おすすめのエリアの1つといえるのではないでしょうか。
まとめ
江古田は、武蔵野音楽大学や日本大学の芸術学部のキャンパスがあるなど、音大生や美大生が多い芸術的な学生街として知られています。
学生が多いので、リーズナブルな飲食店やカフェなども多く、ビジネスパーソンにとっても利用しやすい街です。池袋駅にすぐに出られる立地で、ビジネスでの移動や通勤にも便利なエリアです。