谷中というと、かつては谷中霊園のある静かな地域であり、昔ながらの商店街がある庶民的な下町として、地域の方が生活を営む場所でした。近年では、こうした風情ある街並みやレトロな雰囲気に人気が集まっています。根津や千駄木と合わせて谷根千として注目され、国内外から多くの観光客が訪れるようになりました。谷中の街の特徴や歴史について、見ていきましょう。
目次
谷中の特徴
谷中には谷中霊園があり、厳かな雰囲気があります。
一方で、昔ながらの商店街が今も商売を続けており、庶民的な下町でした。
しかし近年、国内外から多くの観光客が訪れるようになり、雰囲気に賑わいが出ています。
そんな谷中の特徴を見ていきましょう。
谷中霊園のある街
谷中霊園は都立霊園であり、お墓がない方とは無縁に思えます。
しかし、厳かで静かな雰囲気や歴史を感じる雰囲気が人気で、歴史好きの方をはじめ、心が癒やされると散策を楽しむ方も少なくありません。
谷中霊園には、徳川慶喜をはじめ、横山大観や鏑木清方、朝倉文夫などの芸術家、実業家として著名な渋沢栄一、俳優として活躍した森繫久彌などの墓もあります。
そのため、歴史ファンをはじめ、芸術家や俳優などのファンが墓参に訪れる光景も見られます。
霊園内はお墓を持っていなくても、マナーをわきまえたうえで自由に散策が可能です。
昔ながらの商店街が残る町
谷中銀座商店街には、昔ながらの個人商店を中心に、170mもの通りに約60店舗がそろっています。
コロッケなどの惣菜を買い求めて熱々を楽しんだり、お団子やお煎餅もできたてを楽しんだりできるのです。
歴史あるお店をはじめ、谷根千人気にあやかって新たに進出したお店などもあり、賑わいを見せています。
谷中にオフィスを構えれば、ランチを買いに行ったり、仕事後にお惣菜を買って帰ったり、休憩タイムにスイーツを買って癒やされることも可能です。
夕やけだんだんがある街
夕やけだんだんは、谷中で人気の見どころです。
日暮里駅から谷中方面へ緩やかな坂道である御殿坂をのぼっていくと、谷中銀座商店街へと向かう間に、夕やけだんだんと名付けられた階段があります。
陽が落ちる時間帯に、この階段から美しい夕やけを楽しむことが可能です。
夕やけだんだんの名称は、一般公募によって命名されたものです。
夕やけが出る時間帯に訪れてみると、1日の疲れも癒やされます。
七福猫を探そう
谷中では、あちこちで猫が歩いています。
夕やけだんだんが楽しめる階段にも猫が座っているなど、観光客の癒やしになっているのです。
こうした猫が多い状況を捉えて、谷中銀座エリアには、木彫りの猫のオブジェが飾られています。
オブジェは7体あり、どこに設置されているかは明らかにされていません。
すべての猫のオブジェを見つけられると幸せになれるという逸話が広がり、七福猫として楽しまれています。
谷中銀座商店街には、猫をモチーフにしたお菓子なども販売されているので、お土産に買うのもおすすめです。
アートの街
谷中とお隣の根津エリアは、アートギャラリーが多い街です。
谷中にあった古い建物をリノベーションして、アートギャラリーにしているケースも多いので、昔ながらの建物の雰囲気と近代アートの両方を楽しめるのです。
木造アパートを改造したカフェを併設するギャラリーや、200年もの歴史を紡いできた銭湯を改装したギャラリーがあります。
また、谷中霊園に眠る彫刻家の朝倉文夫が作品を作っていた、アトリエ兼住居を美術館にした朝倉彫塑館などもあります。
江戸時代の大名時計をコレクションした博物館などもあり、個性豊かな芸術や文化に触れられるのも、谷中の魅力です。
谷中の歴史
谷中には、どのような歴史があるのでしょうか。
江戸時代に遡って見ていきましょう。
寺町としての谷中
谷中は、江戸時代に江戸の市街地拡張に伴って、神田にあった多くの寺院が移転され、寺町となりました。
当時の寺は信仰する人も厚く、寺町として発展してきた地域です。
谷中は、関東大震災や第二次世界大戦による空襲の影響が比較的少なかった地域でした。
そのため、現在でも昔の建物や下町情緒が漂う雰囲気が残されています。
文学の舞台に
谷中は、森鴎外や夏目漱石などの小説の中にも、しばしば登場します。
なかでも有名なのは、天王寺の五重塔をタイトルにした幸田露伴の「五重塔」です。
天王寺の五重塔は、現在の谷中霊園に位置していました。
五重塔は、明治41年に東京市に寄付されますが、残念ながら昭和32年に火災により焼失してしまうのです。
現在では、礎石の部分のみが残されており、都の史跡に指定されて保存がなされています。
谷中霊園を訪れる方をはじめ、文学ファンがこの跡地を見に訪れます。
谷中銀座商店街の歴史
谷中銀座商店街は、昭和20年頃に自然発生的に生まれたと伝えられています。
戦中・戦後の混乱の中で、地域の方の生活を担う商店街として、地域を支えてきました。
全国的に商店街がシャッター街になっていくなかで、お店の数が減るなど不安を抱えた時期もありました。
しかし、平成時代になると、谷根千として注目が集まり、国内外から多くの観光客や買い物客が訪れる場所へと様変わりしています。
これに伴い、平成11年には商店街の外観整備を行い、平成13年にホームページを開設するなど、観光客を迎える準備も整えました。
平成18年には日よけや袖看板を設置し、平成20年には七福猫として楽しまれている木彫り猫も設置しました。
平成28年には、商店街の公式キャラクター「せんちゃん」を制作するなど、商店街全体のイメージ戦略を進めています。
平成3年の調査では、平日・休日に訪れる観光客は8千人でした。
平成30年の時点では平日約1万人、休日は約1万4千人に増えており、商店街のアピール効果が出ていることが分かります。
平成28年には新旧理事の世代交代を行い、未来へと続く新たな谷中銀座商店街を目指して始動しています。
新たな取り組みとして、イベントの見直しや時代・トレンドに合わせた企画の展開、地域全体を盛り上げる一歩会の結成などに取り組んできました。
もちろん古き良き文化を大切にし、何でもネットで完結し、お店に足を運ばなくても商品が買える時代の中で、商店街に来ないとできない体験やフェイストゥーフェイスの接客を大切にしています。
谷中の交通アクセス
谷中には、地域名を冠する駅はありません。
立地によって最寄り駅は異なりますが、代表的な駅は日暮里駅と千駄木駅です。
日暮里駅はJR山手線と常磐線が使えるほか、都営舎人線と京成線も通っており、都内有数のターミナル駅の1つです。
千駄木駅は、東京メトロ千代田線が使えるので、都内の移動などに便利に活用できます。
山手線を使えば、上野駅や新宿駅など都心部の移動に困ることはありません。
常磐線を使えば、柏や松戸などの千葉エリアや取手、牛久、土浦や水戸など、茨城方面とつながります。
営業や出張をはじめ、千葉、茨城方面から通勤する方にも便利な立地です。
都営舎人線の舎人ライナーの沿線には、若いファミリー層にも人気の住宅街などが広がっているので、人材採用にもプラスに働きます。
京成線を使えば、千葉方面とのアクセスが便利なだけでなく、成田空港まで直通しているので、出張にも便利です。
千代田線を使えば、大手町や日比谷、霞が関、赤坂や表参道などのオフィス街へダイレクトアクセスできるので、営業や商談に行くにもスムーズです。
谷中のオフィス賃料相場
谷中の賃料相場の坪単価は、10,000円前後です。
下町エリアなので、都心部では抑えられているほうです。
谷中には駅がないため、最寄り駅や駅からの距離によっても相場に違いが出ます。
立地や築年数、周辺環境や設備によっても変動するので、確認が必要です。
まとめ
谷中は昔ながらの商店街があり、レトロな雰囲気や夕やけだんだん、七福猫などの人気の観光スポットもできたことから、国内外から多くの観光客が訪れる地域になりました。
昔ながらの商店の建物だけでなく、オフィスビルも豊富です。
日暮里駅と千駄木駅が最寄り駅として使えるので、営業や商談などビジネスユースをはじめ、通勤にも便利な地域です。
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