神楽坂といえば、古くからの料亭や商店などが今も見られる、情緒あふれる街として知られています。

近年は、飯田橋など周辺エリアの再開発事業などの影響もあって、オフィス街としても人気のあるエリアです。ここでは、神楽坂にオフィスを検討されている方のために、神楽坂の街の特徴や歴史、交通アクセス、オフィス賃料相場について詳しく紹介していきます。

神楽坂の街の特徴

神楽坂は、新宿区の東の端「牛込地区」に位置しており、千代田区とも接しています。
神楽坂という地名の通り、早稲田から飯田橋へと続く、坂道を中心に広がっているエリアです。
「毘沙門天善國寺」「赤城神社」など、古い寺や神社が多いエリアであり、お祭りのときに響く神楽の奏でが、地名の由来ともいわれています。
神楽坂周辺は、古くから花街として発展してきました。
その影響で、東側のエリアには現在でも、料亭やレストラン、カフェなどが多く見られます。

大きな商店街もあり、買い物客や観光客で賑わう、活気あふれる街並みが特徴です。

一方、西側のエリアには閑静な住宅街が広がっており、マンションが建ち並んでいます。
神楽坂には、日本で唯一の「逆転式一方通行」があることでも知られています。
逆転式一方通行とは、時間帯によって一方通行の方向が逆転する道路のことです。
矢来第二交差点から、神楽坂下交差点のおよそ1kmに適用されています。
また、日曜・祝日には、歩行者天国となるエリアもあるので、注意が必要です。

神楽坂の歴史

神楽坂は古い歴史を持つ街であり、その中で街並みもさまざまに変遷を遂げてきました。
神楽坂の街が歴史の中でどのように変化してきたのか、具体的に見ていきましょう。

江戸時代以前から新宿区で唯一の町を形成

神楽坂エリアの中でも、最も古い歴史を持つのが「兵庫横丁」です。
武器や兵馬などを扱う商人の町として、鎌倉時代から重要な役割を果たしてきました。
江戸時代以前に街を形成していたのは、新宿区内でこのエリアだけです。

江戸時代初期に武家地として整備される

江戸時代になり、徳川家康が江戸城へ入府すると、神楽坂に牛込見附が設置されました。
その結果、坂沿いには見附に常駐する武士が住み着くようになり、数多くの武家屋敷が建ち並ぶようになります。
さらに、1650年代になると神田川が開通し、多くの人や物資が集まる要衝として賑わうようになりました。

毘沙門天善國寺の移転により大きく発展

毘沙門天善國寺の移転により大きく発展

神楽坂が大きく発展する契機となったのが、1792年に馬喰町から「毘沙門天善國寺」が移転してきたことです。
毘沙門天が、寅の年・寅の月・寅の日・寅の刻に生まれたという言い伝えから、寅の日には善國寺で縁日が催され、多くの参詣客が訪れるようになりました。
神楽坂には、参詣客を相手とした宿屋や商店、料理屋などが目立つようになり、賑やかで活気あふれる現在の神楽坂の礎となりました。

明治時代に町人文化が花開く

江戸時代が終わり、明治時代になると、牛込見附に常駐していた武士たちがそれぞれの国へ帰り、武家屋敷が建ち並んでいたエリアに町人が住み着くようになりました。
参詣客相手に商売を始めるものも多く、寺社の周辺には花街が誕生します。

明治時代における神楽坂のもう1つの大きな変化が、鉄道の開通です。
明治28年に甲武鉄道の牛込停車場が開業したことによって、地方から縁日を目当てに大勢の観光客が集まるようになりました。

当時の神楽坂は「山の手銀座」と呼ばれるほどの盛況っぷりで、商業の街として大きく発展することとなりました。

大正時代は印刷業や出版業の拠点となり多くの文人が居を構える

鉄道の開業が神楽坂にもたらしたもう1つの大きな変化が、印刷・出版業の発展です。
当時は、印刷技術の向上により紙のニーズが高まっていた時期であり、牛込停車場には静岡や東北地方から、大量の紙が持ち込まれるようになりました。

結果として、印刷や出版に携わる企業が神楽坂周辺に数多く設立され、「印刷の町」と呼ばれるほどに発展を見せました。

このような背景から、多くの文人が神楽坂に居を構えるようになります。
尾崎紅葉や坪内逍遥、林芙美子、泉鏡花などが代表的な例です。

花街からオフィス街へ

第二次世界大戦で大きな被害を受けた神楽坂エリアは、いち早く復興を果たし、高度経済成長期にかけて花街として全盛期を迎えます。
大物政治家が神楽坂の高級料亭を利用して、花柳界を舞台に政治活動を行っていたというエピソードを耳にしたことのある方も多いでしょう。
しかし、その後は新宿や銀座などに賑わいが移って行き、「山の手銀座」という名称も新宿に取って代わられてしまいました。

その一方で、日本を代表するオフィス街である千代田区から目と鼻の先という立地により、オフィスビルが次々に建設されるようになります。
飯田橋など周辺エリアの再開発も進み、オフィス街としてのニーズは高まる一方です。

神楽坂の交通アクセス

神楽坂の交通アクセス

神楽坂エリアで利用可能な駅は、神楽坂駅・牛込神楽坂駅・飯田橋駅・江戸川橋駅の4つです。
主要駅である神楽坂駅は、東京メトロ東西線の駅で、東京駅と連絡している大手町駅や日本橋駅まで10分という利便性の高さが魅力です。
神楽坂駅の少し北にある牛込神楽坂駅は、都営地下鉄大江戸線の駅で、新宿駅や六本木駅、汐留駅などにダイレクトにアクセスできます。

飯田橋駅はJR中央線や総武線に加えて、東西線・有楽町線・南北線・都営大江戸線の4路線が乗り入れている交通の要衝です。
とにかく乗り換えに便利なので、飯田橋駅を経由すれば、都内のさまざまなエリアへ便利にアクセスできるでしょう。
文京区との境には、東京メトロ有楽町線の江戸川橋駅もあります。
有楽町駅や永田町駅だけでなく、池袋駅から先の埼玉方面への移動にも、便利に利用できます。

神楽坂のオフィス事情と賃料相場

神楽坂の賃貸オフィス事情や、オフィス賃料の相場を紹介します。

抜群の交通アクセス

すでに紹介したように、交通アクセスに関しては神楽坂が抜群です。
毎日の通勤はもちろんのこと、取引先企業への訪問や新幹線・飛行機を利用した出張の際も、スムーズに移動できます。
交通アクセスの良さを考慮するなら、神楽坂エリアは非常に魅力的です。

働きやすい環境がそろっている

神楽坂エリアは、商業の街として発展してきた経緯から、現在も周辺に多くの店舗や娯楽施設があり、ランチする場所に困ることもないでしょう。
また、オフィス街というと、無機質なコンクリートジャングルをイメージしがちです。
しかし、神楽坂には、外堀周辺に桜など季節の草木を楽しめる場所も多く、自然に囲まれた公園もあります。
神社仏閣といった歴史的な建造物もあるなど、働きやすい環境が整っているのも大きな魅力です。

さまざまな規模のオフィスがそろっている

神楽坂エリアは、多種多様なオフィスがあることも魅力の1つです。
神楽坂駅周辺は、どちらかといえば、比較的規模の小さい雑居ビルが多く見られます。
近くに大学などの教育機関が多いことから、法律事務所や会計事務所など、士業向けのオフィスも目立ちます。
また、印刷・出版関連の企業も多いです。
比較的規模の大きなオフィスを探すなら、飯田橋駅に近いエリアがおすすめです。
飯田橋駅は継続的に再開発が行われ、今後も大規模なオフィスビルが建設される予定となっています。

気になる神楽坂のオフィス賃料相場は?

神楽坂駅周辺エリアのオフィス賃料(坪単価)の相場は、30坪で14,500円、50坪~100坪で17,500円、100坪超で25,000円前後です。

まとめ

神楽坂は都内の主要オフィス街と異なり、住宅街や商店街、歴史的建造物と隣り合わせの趣あふれるエリアとなっています。
神楽坂駅周辺は雑居ビルが中心ですが、飯田橋方面には大規模なオフィスビルもあります。
交通アクセスは良好なので、会社の規模や予算に合わせて、賃貸オフィスを探してみてはいかがでしょうか。

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