桜丘と聞いてピンとこない方もいれば、歩道橋を上り下りした大変な経験を思い起こす方もいるかもしれません。

渋谷駅からすぐなのに、国道246号を越えなくてはたどり着けなかった桜丘エリアも、便利になっています。

桜丘の特徴と成長や再開発の歴史を見ていきましょう。

桜丘の特徴

桜丘は、渋谷の南西部に位置し、国道246号を越えたエリアに位置します。
坂のふもとから坂を上がったところまでの地域で、築年数の経過したビルが建ち並ぶ昭和レトロな街並みの中に、新しくできた高層ビルが混じるエリアです。

渋谷駅の再開発により、歩道橋を渡って246号を越えないと行き来できなかった桜丘が駅からデッキでつながり、上り下りせずにアクセスできるようになりました。

桜丘の特徴を見ていきましょう。

桜丘の坂道と桜の木

桜丘の坂道と桜の木

桜丘は渋谷駅から246を隔てたエリアですが、丘を登り切った場所ではなく、ふもとから高台までの横にも広がるエリアです。

桜丘には7本の道があり、高層ビルが建っているエリアや、昭和レトロな低層、中層ビルが密集するエリアなどに分かれています。

右から、国道246号に沿うセルリアンタワーなどが建つ通り、セルリアンタワー裏の蛇崩れ通り、桜並木の美しいさくら坂とさくら通り、代官山へと続く中央通り、蛇坂とその下の湾曲した道、線路沿いの細い区道などのエリアで構成されています。

7本の通りの一つであるさくら通りは桜並木がありますが、歴史はあまり長くありません。
以前は柳並木であったのが、1991年に7本の桜の木が道玄坂から移植されました。

もっとも、2010年に歩行者優先のために1車線化されたことで、桜の木が歩道の中に点在する景観になっています。

しかし、桜の木そのものが大きく成長しているので、春の桜の時期は美しく咲き誇り、見ごたえもあります。

個性あふれる昭和レトロな街並み

桜丘には、専門学校や音楽・芸術関係の教室、進学塾なども多く、10代、20代の学生が集うエリアでもあります。

学生や学校の職員、周辺のオフィスワーカー向けの飲食店や居酒屋なども点在しており、チェーン店よりは個人経営などのこだわりのあるお店が多いのも特徴です。

楽器店や小さなライブハウス、ジャズ喫茶などが点在し、老舗の商店もあるなど、再開発前はかなり昭和レトロな街並みを形成してきました。

高層ビルや建て替えの動き

高層ビルや建て替えの動き

2000年前後から、桜丘にも高層の大型ビルが建設されるようになります。
1998年に、桜丘の頂上エリアに誕生したのが、渋谷インフォスタワーです。

小さな庭も付いた広大な敷地に高層ビルが建ち、地下には温水プールも備わるスポーツクラブが入り、上階には法律系の専門学校やIT企業などが集まってきました。

2001年には、246沿いにセルリアンタワーが完成します。
ハイグレードなシティホテルが入るタワーで、展望レストランやプールなどのほか、能楽堂なども備えたオフィスゾーンもある複合ビルです。

また2010年には、明治時代に創設された大和田小学校の跡地に、渋谷区文化総合センター大和田が完成しました。
プラネタリウムにサクラホール・伝承ホール・図書館などを備えた施設で、子どもからシニアまで、世代を問わず利用できる施設です。

さらに2019年からは、渋谷駅から桜丘にかけて、エリアの再開発が始まりました。
2023年にShibuya Sakura Stageが完成すると、渋谷駅と桜丘エリアが歩道橋を使わずに、連動することになりました。

歩道橋を渡らないとアクセスできない地域として、通勤や通学など必要がなければ足を運ばないエリアであり、個性的な街並みが残されていたエリアでした。
しかし、新たな動線ができたことで、街並みが変化していくことが期待されています。

桜丘の歴史

桜丘の近代の歴史を見ていきましょう。

桜丘のこれまでの歴史

桜丘という地名は、明治維新以降に、薩摩軍海江田隊長がこの地に桜の木を植えて、住宅地として開発したことがきっかけといわれています。

1907年(明治40年)には、1997年に少子化により統廃合されることになった、大和田小学校が開校しています。

渋谷の駅前にあり、住宅街だった桜丘には、戦前から食料品や雑貨など生活関連の商品を扱う個人商店が建ち並び、焼き鳥店や居酒屋など地域の方が集うお店も集まっていました。

しかし、1964(昭和39)年の東京オリンピック開催に伴い、渋谷駅に続く道と桜丘エリアの間に、国道246号が通ることになります。

幹線道路の築造に伴って区画整備が行われ、桜丘にあった細い路地などはなくなりました。
国道の開通により、渋谷駅から桜丘との行き来は、歩道橋を上り下りする方法しかなくなってしまいます。

246号により渋谷駅と地続きではなくなったことで、渋谷の中心部のような急速な開発の波に飲まれず、古い青果店や文具店、楽器店、老舗の飲食店など、長い歴史を持つお店が残される結果になりました。

そのため桜丘には、近年再開発が行われるまで、昭和レトロな風情が漂うエリアが残されていたのです。
なお、明治時代に植えられた桜の木は残されておらず、長い間、桜丘は桜のない場所でした。

しかし1991年になって、道玄坂から7本のソメイヨシノを桜丘通りに移植し、さくら通りという名称に変更されました。

再開発による変化

再開発の動きがようやく、渋谷駅の南西側にも訪れることになりました。

これにより、渋谷駅と桜丘の街、地下と地上をスムーズに結びつける、歩行者動線が整備されることが計画されました。

246号に加えて、新たに整備される補助線18号の上空にも幅の広い歩行者デッキを架け、渋谷駅と丘陵地である桜丘との高低差を解消することが目指されます。

桜丘の商店会や住民たちにとっても、エリアの隔絶が解消されることは念願でした。
再開発に伴い移転する店や閉店する老舗もありますが、それでも渋谷の地とつながり、桜丘を抜けて代官山や恵比寿方面とつながっていく連動性ができることは、街の成長と発展には欠かせないことと位置付けられているためです。

アクセスが便利になり、より多くの人が行き交うようになることで、エリアが発展していくことが期待されます。

桜丘の交通アクセス

桜丘の交通アクセス

桜丘の最寄り駅は渋谷駅なので、交通アクセスは便利です。

2023年にShibuya Sakura Stageができるまでは、歩道橋を渡って246号の大通りを超えないと桜丘に行けず、駅とのアクセスが不便でした。

しかし、駅からデッキでつながり、歩道橋を上り下りしなくても桜丘とつながるようになり、バリアフリー化して便利になっています。

渋谷駅は、都内の一大ターミナル駅の一つです。
JR山手線、埼京線、湘南新宿ラインをはじめ、東京メトロ銀座線、半蔵門線も使え、東急東横線や田園都市線、小田急線などの私鉄も使えます。

都内から埼玉方面、神奈川方面まで、スムーズにアクセスできるので便利です。

桜丘のオフィス賃料相場

坪単価は、10,000円前後~18,000円前後です。
立地や駅からの距離、ビルの築年数や規模、共用設備やオフィス環境、周辺環境によっても変動するので、確認が必要です。

桜丘は渋谷駅から近いものの、従来は歩道橋を上り下りしなくてはならない隔絶地であったことから、国道246を超えることで賃料が下がる傾向が見られました。

しかし、再開発でアクセスが便利になることで、今後は賃料が高くなっていくことが予想されます。

まとめ

桜丘は、渋谷駅から国道246を超えた場所に位置する、坂の多いエリアです。
昔ながらの街並みを残しながら、高層オフィスビルなどが建ち並ぶ場所でした。

これまで、歩道橋を上り下りしないと渋谷駅とつながれませんでしたが、再開発によりアクセスがしやすくなります。

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