オフィス移転は企業にとって大きなプロジェクトの一つとして挙げられます。移転作業は多岐にわたります。円滑に進めていくために事前に失敗例や対策方法を知ることはとても大切です。
この記事では、オフィス移転のよくある失敗や対策方法を紹介しています。現在オフィス移転を検討している方、成功させるにはどうすればいいのか知りたい方はぜひ参考にしてください。
目次
オフィス移転を検討するのはどのようなとき?
ここではまず、オフィス移転を検討するのはどのようなときかをご紹介します。おもに以下の理由が挙げられます。
- 業績が良くなり、従業員が増えたため
- より働きやすい環境を整備するため
- 自社のブランドイメージをアップさせるため
- 業績が悪化し、より賃料の安いオフィスを探すため
- 従業員の生産性をアップさせるため
- オフィスの契約が満了するため
- 現在のオフィスの老朽化が気になるため
このように移転の理由は企業によってさまざまです。ポジティブな理由もあればネガティブな理由もあります。契約満了やオフィスの老朽化のような移動せざるを得ない場合もあります。また理由は一つの場合もあれば複数の場合もあるでしょう。
オフィス移転でありがちな失敗とは?
ここからは、オフィス移転の際にありがちな失敗を5つ紹介していきます。
移転費用が高額になりすぎた
オフィス移転で必要になるのは、新しいオフィスの物件費用だけではありません。引越し費用や退去費用、また新しいオフィスで使用する設備・機器・什器の購入費なども含まれます。 あらかじめどのような費用が必要なのか、予算はどのくらいまで出せるのか明確にするようにしましょう。
どんなに良いオフィスに移転できたとしても、予算を大幅にオーバーしてしまうと失敗に終わってしまうかもしれません。
周辺環境をしっかりチェックしていなかった
オフィススペースはしっかりとチェックしていたけど、周辺環境をあまりチェックせず移転してしまい失敗したケースもあります。例えば、以下のような不満が挙げられます。
- 飲食店が少なく、ランチタイムにご飯を食べられない従業員がでてくる
- 駐車場や駐輪場がなく、公共交通機関以外での移動が難しい
- 夜遅くなると治安が悪くて帰るときに不安を感じる
- タクシーがほぼ走っておらず手配が難しい
- 会社から最寄りのコンビニが遠くて不便に感じる
オフィス内の環境も大切ですが、周辺環境にも気を配って決めることも大切です。
オフィス移転する理由が明確でない
移転する理由が明確でない場合、失敗に終わるケースが多くなります。まず現状のオフィスだとどのような問題があるのかを明確にしておかないと、新しいオフィスを決めたり設備や機器、什器を選んだりする際に間違う可能性が高くなるでしょう。
また、オフィス移転には従業員の協力も必要不可欠です。明確な理由がなければ賛同も得にくくなるでしょう。不明確なまま進めてしまうと従業員から「移転によって通勤時間が延びてしまう」、「オフィス移転は経費の無駄遣い」などの不満が出るかもしれません。
スケジュール管理ができていなかった
オフィス移転のスケジュール管理ができておらず失敗するケースもあります。大規模な移転の場合は、1年ほど前から予定を組む必要があります。途中で工事の大幅な遅れやトラブルが起こる場合もあるでしょう。
余裕を持ったスケジュールを組まなかった結果、予定どおり作業が進まず現在のオフィスに対して余分な賃料を払う必要が出てきたり、業者との調整に余分な時間を費やしてしまったりするかもしれません。
デザイン重視で働きやすさへの配慮ができていなかった
新しいオフィスのデザインや見た目を重視した結果、働きやすさへの配慮が欠けてしまったケースもあります。
- 給湯室やトイレなどの共用スペースが狭い
- 座席が自由なフリーアドレス制を導入したが従業員に対して座席が少ない
- エレベーターが少なく移動に時間がかかる
- サーバールームや倉庫が足りず、備品が入りきらない
- オープンな環境づくりを進め過ぎた結果、人事評価のような内密に進めなければいけない内容を話せる場所がない
見た目も大事ですが、働きやすさも考慮する必要があるでしょう。
オフィス移転を失敗しないための対策方法は?
ここからは、オフィス移転を失敗しないためにはどうすればいいのか、注意点を紹介していきます。
節約できる箇所は節約を心がける
予算オーバーによってオフィス移転を失敗しないために、まずは節約できる場所がないか探してみましょう。
例えば、退去から新しいオフィスへの移転まで一括してお願いできる業者を選びましょう。業者との相談も一社で済むので時間の短縮になるでしょう。オフィス設計、引越し、内装工事などを別々の業者に頼んでしまうと初期費用がかさむ可能性があります。
複数の業者から見積もりをとることで、お手頃価格で移転を進められる業者を選べるでしょう。また不要な備品は移転前に処分して荷物を最小限にする、使える什器や設備は再利用するなどして節約する方法もあります。
オフィス移転には多くの費用がかかります。節約できる場所ではしっかり節約を心がけましょう。
周辺の環境をしっかりチェックしておく
周辺環境で失敗しないために、新しいオフィスの契約前に物件だけではなく周辺環境もチェックしておきましょう。自社の従業員がどのような行動をとっているか事前に把握してチェックするのがおすすめです。
例えば、外回りの従業員が多い場合は取引先へのアクセスも考慮し、タクシーの手配や移動はしやすいかどうか確認しておくとよいでしょう。
セミナーや企業説明会を定期的に開催している場合は、近くに貸し会議室やホテルがあるかどうか確認するのがおすすめです。また、従業員が利用できる飲食店が周りにあるかどうかもしっかりと確認しておきましょう。
オフィス移転の理由を明確にしておく
あらかじめ移転する理由を明確にしておきましょう。物件選びや移転の際の予算管理などで失敗することを防げます。
例えば、物件選びでは、移転理由が明確になることで新しいオフィスの希望条件がはっきりと見えてきます。理由が明確でないと物件探しを始めても迷いが出てしまい失敗につながりやすくなってしまうでしょう。
また、最初に決めた目標やコンセプト、理由は途中で変えないようにすることが大切です。 現在のオフィスでは何が問題なのかを明確にしてから動きましょう。
従業員がどのような問題を抱えているか把握しておく
現在のオフィスで働いている従業員がどのような悩みを抱えているか、事前にヒアリングするのもよいでしょう。経営陣だけでは把握しきれていない悩みがわかるかもしれません。
例えば、「会議室の予約が取りにくい」といった仕事に直結する悩みはもちろん、「夜遅くなったときの治安が気になる」といった業務には関係ない困りごともあるかもしれません。
集めた意見を可能な限り反映させることで、全員が納得のいくオフィス移転につながるでしょう。性別や年代、役職によって悩みごとは異なる可能性もあるので幅広い従業員から意見をもらうようにするのが大切です。
移転までの大まかな流れを事前に把握しておく
あらかじめ移転までの大まかな流れを把握しておくことも大切です。一般的なオフィス移転の流れは以下のとおりです。
時期 | すべきこと |
---|---|
移転1年前 | オフィス移転の計画立案 |
移転6ヵ月前 | 現在のオフィスに解約通知を提出 |
移転5ヵ月前 | 原状回復工事の依頼 新しいオフィス選び・契約 |
移転2ヵ月前 | 新オフィスの内装工事開始 |
移転1ヵ月前 | 各所へ届け出や申請を提出 |
途中作業の遅れやトラブルが発生する場合もあるので余裕をもったスケジュール作成をしましょう。
移転までのチェックリストを作成しておく
あらかじめ移転までのチェックリストを作成しておきましょう。オフィス移転は基本的に通常業務と並行して行なわなければいけません。チェックリストを作っておくことでどの時期にどの工程まで進めておけばいいのか、やり残したことはないかなどを確認できます。
チェックリストを作る際は、いつ、誰が、何を、どこで、どのようにすべきなのか明確に書いておくのがおすすめです。
まとめ
今回は、オフィス移転する際によくある失敗や失敗しないための対策方法を紹介しました。移転が失敗する理由は一つではありません。
あらかじめ移転理由を明確にして計画的に行なうことが大切です。事前に対策方法を知って従業員が移転して良かったと思えるオフィス移転を目指しましょう。