オフィスの移転で欠かせない作業の一つに、電話の移設があります。電話番号の変更の有無も状況によって異なるため、事前に確認し、計画的にオフィス移転を進めましょう。

この記事では、オフィス移転にともない、電話番号が変更にならないケースと、変更になるケースを解説します。合わせて、電話番号が変更になる場合の移設手続きの流れと、移設にともなう効果的な告知方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

オフィス移転で電話番号はどうなる?

オフィス移転で電話番号はどうなる?

オフィス移転にともなって、電話番号が変わるかどうかは、電話回線の種類や移転先の場所が影響してきます。したがって、まずは自社の電話回線の種類と、移転先でのNTT回線の管轄がどこになっているかを確認しましょう。

固定電話の回線にはアナログ・デジタル・IPの3種類があります。このうち、アナログ・デジタル回線はNTT回線を利用しているので、NTTでの収容局がどこになっているかにより、電話番号の変更の有無が決定します。

現在のオフィスと移転先のオフィスのNTT収容局を調べるには、NTT東日本・西日本とも、局番なしの「116」番で対応しています。NTT東日本では、ホームページより収容局の一覧表をダウンロードすることも可能です。

NTT東日本:収容局毎のカバーエリア

電話番号が変わらないケース

まず、電話番号が変わらないケースについて、順に解説します。

同じNTT収容局内での移転

アナログ・デジタル回線を利用している場合は、オフィスの住所によって、NTT収容局が異なっています。NTTの収容局とは、NTTの電話回線や光ファイバーを引き込んで収容している建物(ビル)のことです。

オフィス移転の場合、移転先のNTT収容局が同じビルになっていれば、電話番号の変更はありません。ただし、同じ市区町村の場合でも、収容局が住所により異なっている、もしくは違う市区町村でも同じ収容局が管轄しているというケースもあるため、確認が必要です。

収容局の調べ方については、先に紹介したNTTの問い合わせ番号・局番なし「116」で対応してもらえます。

IP電話

IP電話とはインターネットを活用した電話で、03や06といった市外局番を利用したものや、050で始まる番号を使用するもの、電話番号が不要なもの(LINE電話)などが該当します。

このうち、050から始まる電話番号を利用している場合は、プロバイダを変更しない限り、オフィスを移転しても電話番号は変更されません。

クラウドサービスの利用

どうしても電話番号を変更したくない場合は、社内電話を事前にクラウドPBX※に変更しておく方法もあります。※PBXとは電話交換機のこと。

社内外の通話をクラウド上のサーバーから提供するクラウドPBXは、03や06といった市外局番が変わらない場合、移転先でも同じ番号を引き継いで利用できます。また、専用アプリを利用してスマートフォンをオフィスの電話として活用する、自宅電話からオフィスの電話番号で発着信できるなどの利便性もあります。

ただし市外局番が変わる場合(例えば東京から大阪に移転する場合など)は同じ番号で引き継げないのでご注意ください。

電話番号が変わる場合の手続き

上で紹介したケース以外では、オフィス移転時に電話番号の変更がともないます。電話の移設には通常2週間~1ヵ月程度はかかるといわれています。

法人のオフィスの場合は取引先や顧客への対応も必要になることから、遅くとも移転の1ヵ月半前には手続きを開始するようにしましょう。年度末など電話移設が混みあう時期なら、さらに余裕を持って計画的に進めてください。

ここからは電話番号が変わる場合の手続きについて、大まかな流れを解説します。

NTTで移設申し込みをする

NTT回線を使っている場合は、まずNTTに移設の申し込みをします。NTTの総合受付番号「116」に電話するか、インターネットweb116.jp(NTT東日本の場合)から手続きしてください。

オフィス移転をトータルで専門業者に依頼している場合は、電話移設にも対応してくれる場合があるので、相談してみましょう。またNTT以外で固定電話を契約している場合は、契約先の企業に問い合わせが必要です。

移設工事を依頼する業者を選ぶ

次に移設工事を依頼する業者を選定します。オフィスの電話移設は回線数も多いため、専門業者に依頼しましょう。

具体的には、NTTまたはNTTの正規代理店、それ以外の電話工事専門業者のいずれかとなります。

NTTや正規代理店では、サービス品質も高いため、安心して作業を任せられます。その他の専門業者の場合工事費を節約できることもありますが、品質や工事価格に差があるため、注意して選んでください。

スケジュールを確認する

移設工事業者が確定したら、早い段階から移設にともなう情報を共有し、作業スケジュールを組んでもらいます。移設工事日も早めに押さえておきましょう。

例えば現在のオフィスでの回線状況や、新しいオフィスでの希望事項、それらをもとにした電話回線のシステム図の作成を行ないます。また実際に新しいオフィスを下見し、主装置を設置する場所なども決定する作業が必要です。

一連の作業が移設予定日までに完了するよう、数週間程度の余裕を持って進めてください。

移設工事の実施

新しいオフィスで電話回線を引き込み、周辺機器を設置する工事を実施します。簡単な工事であれば1日程度で終了しますが、大規模な移設になると数日かかるケースもあります。

移設工事費用の概要

移設工事費用は、NTTに依頼する場合と、電話工事専門業者に依頼する場合とで、目安が異なります。以下はそれぞれの参考値です。

NTT工事費用

交換機工事:1,100円/1台
屋内配線:既存配線を利用した場合は2,640円/1回線、新規に配線を設置する場合は5,280円/1回線
基本工事費:4,950円/1工事

専門業者の工事費用

初装置設備費:15,000円程度
屋内配線費:500円前後/1㎡
電話機設置費:10,000円程度/1台
人件費:10,000円程度/1人

その他、材料費や諸経費などが必要です。

電話番号変更後の通知方法

電話番号変更後の通知方法

オフィスの移転にともない電話番号が変更になる場合、連絡が取れない期間を作らないよう、取引先や顧客に「番号の変更」と「新しい番号の通知」を徹底しましょう。

NTTのアナウンスサービスを利用する

NTTでは、電話番号に変更があった場合、旧番号に電話をかけた方に3ヵ月程度アナウンスしてくれます。アナウンスパターンは4つありますが、新番号や連絡先を案内してくれるのは、以下の2種類です。

  1. 新番号を案内するパターン
    あなたのおかけになった<旧番号>は、移転のため番号が変わりました。
    新しい番号は、<新番号>です。
  2. 連絡先を案内するパターン
    あなたのおかけになった<旧番号>は、移転のため電話を取り外してあります。
    連絡先の番号は、<連絡先の番号>です。

なお、アナウンスサービスを利用するには、局番なしの「116」で手続きしてください。インターネットから移転手続きする場合は、申し込みフォーム下の「コメント・お問い合わせ」欄に希望する旨を記入してもOKです。

挨拶状やパンフレットでお知らせする

オフィス移転の挨拶状やパンフレットを作成する場合は、電話番号が変更される点もしっかり告知しましょう。「電話番号にも変更がございます」「合わせてご確認いただけますと幸いです」などの文章を添えることで、より伝わりやすくなります。

挨拶状やパンフレットは、実際に移転する時期の2週間程度前を目安に、取引先や顧客に届くように手配してください。万一、移転スケジュールが取引に大きな影響が出ると考えられる場合は、事前にメールなどでも伝えるのがおすすめです。

ホームページなどでもアナウンスしておく

会社の公式サイトやSNSがある場合は、記載の電話番号を変更し、変更の告知をしましょう。

まとめ

オフィス移転には電話回線の手続きが必須事項です。余裕を持って準備することで、移設にともなう取引先や顧客への対応も十分に行なえるでしょう。

今回紹介した電話移設の確認事項や工事の流れなどを参考に、事前準備をしっかりと行ない、徹底したスケジュール管理で電話回線の移設をスムーズに進めてください。