ビジネスの成功には、適切な賃貸オフィスの選択が不可欠です。しかし、数多くの物件や情報に目を向けるなかで、探し方に迷ってしまうこともあるでしょう。
そこでこの記事では、賃貸オフィスを探す際の具体的な流れやポイント、成功のためのヒントを紹介します。
最適なオフィスを見つけ、ビジネスの未来に向けて一歩踏み出しましょう。
目次
賃貸オフィスを探す前に知っておきたい基本知識
まずは、賃貸オフィスに関する基本知識を知っておきましょう。ここでは、レンタルオフィスとの違いや、自社ビルと比較したときのメリット・デメリットを紹介します。
賃貸オフィスとは?
賃貸オフィスとは、企業や事業者が一定期間の契約で借りるオフィススペースのことです。賃貸オフィスと似た言葉にレンタルオフィスがありますが、両者は契約形態などに違いがあります。
賃貸オフィスは、おもに長期利用の目的で不動産賃貸契約を通して借りる物件です。契約期間は、2年以上などの長期契約が多い傾向にあります。
一方、レンタルオフィスはおもに短期利用の目的で、施設利用料を支払って借りるスペースのことです。レンタルオフィスでは、1週間単位などの短期契約もできます 。
また、賃貸オフィスでは企業がオフィススペースを独自にカスタマイズできるのが一般的ですが、レンタルオフィスでは共有スペースや共有設備を利用する形態が主流です。
そのため、賃貸オフィスはより固定的なオフィス空間を必要とする場合に、レンタルオフィスは一時的な利用や柔軟性が求められる場合に適しています。
賃貸オフィスのメリットとデメリット
賃貸オフィスのメリットには、まず自社ビルと比較して初期投資が軽減することが挙げられます。自社ビルを構えるには、膨大な費用や時間がかかります。
その点、賃貸オフィスはすでに建物が存在し、必要な設備やインフラが整っているため、迅速にオフィスを立ち上げられるでしょう。
また、柔軟なスケーリングも賃貸オフィスのメリットです。事業の拡大・縮小に合わせて、オフィススペースを調整できます。スペースの拡大や移転が容易である分、柔軟性に富んだビジネス展開が可能となるでしょう。
一方でデメリットとしては、オフィスの所有権を持っていないため、将来的な財産価値の獲得が難しい点が挙げられます。また、賃料の支払いが必要であり、継続的にコストがかかる点も考慮すべきです。
ただし、賃貸オフィスの賃料は経費計上が可能です。その点は、購入費を経費計上できない自社ビルと比較すると、メリットだといえるでしょう 。
賃貸オフィスの探し方を5ステップで解説
やみくもに物件を探しても、賃貸オフィス探しは成功しづらいものです。最適なオフィスを探すためには、以下の基本手順を踏まえましょう。
ステップ1:予算の明確化
物件を探し始める前に、予算を明確化しておきましょう。賃貸オフィスの確保には、初期費用や継続的なコストがかかります。
気に入った物件だからといってコスト面を無理して契約すれば、経営を圧迫しかねません。あくまでも、予算の範囲内でニーズを満たすのが原則です。
ステップ2:エリアと条件の選定
自社のコンセプトや従業員・顧客にとってのアクセスの良さ、周辺環境を考慮し、理想的なエリアを選びましょう。エリア選定のポイントについては後述します。
また、エリア以外の希望条件も洗い出しましょう。例えば、必要な広さや間取り、駐車場の要否などをリストアップします。現在使っているオフィスがある場合、その問題点や必要な改善点もヒントになります。
ただし、ここで出たニーズをすべて満たす物件は存在しないかもしれません。そのため、ニーズに優先順位を付け、譲れない条件は何かをはっきりさせておくことも大切です。
ステップ3:物件探し
オンラインの物件検索サイトや不動産情報サイト、希望エリアに強い不動産会社を利用して、条件に合致する物件を探します。提供される写真や情報を参考にし、候補を絞り込みましょう。
また、周辺に飲食店やコンビニエンスストア、銀行、郵便局などの便利な施設があるかどうかも、円滑なビジネス推進にかかわるため考慮するとよいでしょう。
ステップ4:内覧と物件の評価
候補の物件を内覧し、現地でしかわからないポイントを確認します。以下のようなチェックポイントをリスト化して、持参するとスムーズです。
- オフィスのレイアウトや使い勝手
- 電波状況、Wi-Fiのつながりやすさ
- 床下配線の可否
- 照明や通気、水回りなどの設備状況
- 天井の高さや採光
- エントランスの清潔さ
- ビル共用のエレベーターやトイレの数
- 隣接するテナント
- 周辺の騒音や環境
- 最寄り駅からのアクセス性
- 夜間の治安
資料や図面と現況が異なることもあり得るため、メジャーやカメラを持参して気になる箇所を確実にチェックしましょう。
例えば、物件資料に書かれた電気容量の情報が古い場合があります。アンペア数が足りないと業務に支障が出るため、現地でブレーカーを確認することをおすすめします。
また、物件資料に掲載された徒歩分数は、距離による単純計算で出されています。坂道や信号などによりもっと時間がかかる可能性もあるため、内覧時に実際の状況を確認しましょう。
内覧で判明した点も踏まえて物件を評価し、事前に設定した条件にどれだけマッチしているかを判断します。
ステップ5:契約と入居手続き
物件が決定したら、不動産会社やオーナーとの契約手続きを進めます。契約書や条件を確認し、敷金・礼金の支払い手続きなどを行ないましょう。
なお、賃貸オフィスの賃料や契約条件については、オーナー側と交渉の余地があるかもしれません。例えば、長期契約を前提にした賃料や初期費用の減額交渉、フリーレント期間の設定 などが考えられます。
ただし、交渉できるかどうかは物件やオーナーの特性にもよるため、十分見極めたうえでお互い納得できる条件を引き出しましょう。
賃貸オフィスの探し方の4つのポイント
賃貸オフィス探しには、いくつかのポイントがあります。以下では、コツや注意点を4点紹介します。
エリアの選定方法
エリアは、自社都合や従業員、顧客、取引先など、多方面を考慮して選定が必要です。例えば、ターミナル駅周辺などの便利なエリアであれば、従業員の利便性やストレス軽減に寄与する可能性があるでしょう。
交通アクセスの良い場所であれば、オフィスから外出する際の時間や交通費の削減にもつながります。さらに、会社に来訪する顧客や取引先がある場合は、先方との距離感やアクセス性も考慮するのがベストです。
また、主要都市ではエリアによって集まる業種が異なる傾向にあるため、その傾向に合わせて立地を絞るのも一つの方法です。
例えば、IT系は渋谷 、金融系は丸の内や大手町、兜町、アパレルは銀座や表参道 、などが挙げられます。同じ業種が集まりやすいエリアにオフィスを構えれば、自社のブランディングにもつながるでしょう。
オフィスの広さの選び方
オフィスの面積は、一人当たり約3坪が目安とされています。ただし、フレックス制やテレワーク導入などにより出勤者数が少ないオフィスでは、3坪を下回っても快適性を確保できるかもしれません。
逆に、弁護士事務所のような機密情報を扱う職場の場合、一人当たり4~5坪の確保が望ましい可能性があります。
したがって、一人当たり3坪を目安としつつ、自社の状況や業務内容を加味して広さを決定することが重要です。
予算を考えるうえでの注意点
予算を考えるうえで必要な要素は、毎月の賃料だけではありません。予算内で、賃料以外のランニングコストもカバーできるか確認しましょう。ランニングコストには、共益費・管理費・水道光熱費・駐車場代などが挙げられます。
また、賃貸契約には初期費用が必要です。初期費用には、敷金(保証金)・礼金・仲介手数料・火災保険料・引越し費用などが挙げられます。その他にも、オフィス設営のためのインフラ整備費や内装工事費がかかり、その必要額は物件により異なります 。
そのため、予算を検討する際は賃料の上限だけでなく、初期費用の目安も設定しておくのがおすすめです。
プロのアドバイスを受ける
不動産のプロからのアドバイスは、賃貸オフィス探しに大いに役立ちます。
オフィス物件は、インターネット上に公開されていないものがあったり、情報が古いままだったりすることがあります。プロしか持っていない情報を得るためにも、希望条件やエリアが決まったら早めに相談するとよいでしょう。
その際、住宅の取り扱いがメインの不動産会社ではなく、賃貸オフィスに強みのある仲介会社やサービスを利用するのがおすすめです。
まとめ
自社のオフィスをどこに構えるかは、ビジネス上の重要事項です。ニーズと予算を明確化し、実際に内覧して物件を正しく評価しましょう。
また、賃貸オフィスに知見のあるプロのアドバイスを受けるのもおすすめです。自社のニーズやブランディングと従業員の満足度を両立し、快適に業務を行なえるオフィスを選択してください。