東京で賃貸オフィスを探す際、基準の一つとなるのが高層階と低層階のどちらが良いかという点です。上の階になるほど窓からの眺めが良くなり、都会的なイメージもあることから憧れの対象になりがちですが、決して良いこと尽くしというわけではありません。
下の階にはまた別の利点があり、そちらを希望する人も多数います。どちらが自分の企業に合っているのか、より快適なオフィスを確保するためにそれぞれのメリットやデメリットを把握しておきましょう。
目次
もそも高層階とは
そもそも高層階と低層階は、どのように区別されているのでしょうか。実は、高層ビルと呼ばれる建築物そのものには明確な定義がなく、法令などによって多様な解釈がなされている状態です。
何mから高層なのか
建築物の高さという観点から見ると、例えば消防法や電波法では高さ31mを超えると高層建築物であると定義されています。また建築基準法では、建築物の構造耐力の基準の相違を鑑みると高層建築物の上限は高さ60mで、それを超えると超高層建築物であると解釈できます。
何階から高層なのか
では具体的に何階が分岐点になるのかというと、都市計画法施行令の場合、低層は1から2階で中層は3から5階、高層を6階以上と定めています。
不動産業界においても6階以上を高層、15階以上を超高層として取り扱っています。エレベーターに着目すると、高齢者などへ配慮する必要がある場合を除いて6階未満の建造物には設置義務がないので、両者の定義の目安となります。
以上の内容をまとめると、一般的には1から5階が低層、6階以上が高層、さらに15階以上は超高層と捉えられています。同じ6階でも10階建てと30階建ての中ではかなり違うようなイメージを持たれがちですが、法令的に見るとどちらも高層に属するということになります。
オフィスを高層階にするメリット・デメリット
東京では近年、アベノミクスや東京オリンピックの影響で高層ビルの建設が積極的に進められています。理想の賃貸オフィスに出会える絶好のチャンスですが、高層ビルを借りるならできるだけ上の階にしようと安易に決定する前に、まずはそのメリットとデメリットを確認しておきましょう。
高層階オフィスのメリット
高層階にオフィスを構えるメリットとして、環境面の心地良さが挙げられます。下の階と比較すると、日当たりが良くて外界から覗かれる心配がなく、雑音も少ないので、気持ち良く仕事に集中できます。
また上の階は高級なイメージに結び付く傾向があり、そこから経営が安定していると評価され、企業の信頼度アップを狙えます。
高層階オフィスのデメリット
オフィスに出入りする際にはエレベーター利用が主になりますが、エレベーターの台数や混雑する時間帯によってはスムーズに移動しづらい場合があります。そして万が一災害が発生すると、下の階よりも避難に時間を要します。
さらに、多くのビルは上の階になればなるほど賃料も高くなります。周囲に高層ビルが乱立していれば、見晴らしがいまひとつという場所もあります。
従業員の士気が高揚するのは大きな強みとなりますが、移動のストレスや高い賃料など気になりやすい点もあります。企業が成長していくために賃貸オフィスに何を求めているのか、様々な角度から検討しましょう。
オフィスを低層階にするメリット・デメリット
日本では低層階の方が賃貸料を抑えられる傾向にあり、それが最大のメリットでもあります。しかしそれだけではなく、従業員が下の階のオフィスを望んでいることもしばしばです。誰もが働きやすい賃貸オフィスを選べるよう、下の階のメリットとデメリットについても把握しておきましょう。
低層階オフィスのメリット
ビルの構造や階層にもよりますが、ちょっとした外出ならばエレベーターを使うよりも階段の方が手っ取り早いケースが日常では少なからずあります。高層階は基本的にエレベーター一択ですが、下の階ならエレベーターと階段の両方を移動手段として確保できます。
また、近年災害への意識が高まっているだけに、いざという時に素早く避難できる安心感を得られます。
低層階オフィスのデメリット
道路に面しているビルは、下の階ほどさまざまな雑音が届きやすくなります。また高層ビルに挟まれていると、日差しが遮られたり外から丸見えになったりするおそれがあります。
下の階にありがちなそのような外的要因は、周囲の環境によっては軽減することが可能なので、事前に立地条件をチェックしておくのが重要です。
賃貸料を抑えつつも従業員が不安なく働ける職場として、低層階の賃貸オフィスは根強い人気があります。通勤の利便性やビル近隣の様子など、優先順位を明確にしたうえで検討してください。
まとめ
今回は、高層階オフィス・低層階オフィスにおける、それぞれのメリットとデメリットを紹介しました。
高層階も低層階も、それぞれに良さや留意すべき点があります。理想の賃貸オフィスを見つける際に最も大切なのは、自分たちが掲げている企業理念や今後成長していくための戦略を活かせるかどうかです。
ベストマッチのオフィスに出会えるよう、両者のメリットとデメリットを十分に理解してから入念に下調べをしましょう。