日本は位置や地形の性質上、さまざまな災害が発生しやすい国です。そのため、1日のうちの大半の時間を過ごすオフィスにも防災対策が必要です。

本記事では、オフィス防災の必要性やすぐに始められる取り組みについてご紹介します。企業の防災対策を学べるオフィス防災EXPOの紹介もしているため、ぜひ参考にしてみてください。

1.オフィスの防災の必要性について

オフィスの防災対策は、災害による被害を最小限に抑え、従業員の安心・安全を確保するために必要不可欠です。以下でオフィスの火災原因と企業の課題について説明します。

1-1.オフィスの火災原因

消防庁の統計によると、2023年上半期の住宅火災の原因は、以下のとおりです。

1位:焚き火(127件)

2位:たばこ(105件)

3位:電気機器(761件)

参考:令和5年(1月~6月)における火災の概要について | 消防庁

特にたばこや電気機器は、オフィス火災の原因として多くなっています。そのため、オフィス内を禁煙にする企業も増えてきています。

1-2.企業の現状と課題

中小企業庁の調査によると、2018年の自然災害による中小企業の被害額は以下のとおりです。

災害被害額
西日本豪雨4,738億円
台風第19〜21号99億円
北海道胆振東部地震42億円

近年、地球環境の変化により、ゲリラ豪雨を引き起こす線状降水帯が発生し、今までになかった被害が生じています。損害を防ぐためにも企業は、災害が当然あるものと考え、入念な事前対策を講じるべきでしょう。

2.オフィスで事前に対策すべき災害

その中でもオフィスが対策すべき災害は以下のとおりです。

2-1.火災

企業で生じる火災の原因として、たとえば以下が考えられます。

  • OAタップの誤起動
  • 電気コードの劣化
  • 漏電

OAタップは複数の電気製品を接続できる便利なアイテムですが、定格容量を超えると電気製品から熱が発生し、火災につながる可能性があります。

また、電気コードを束ねたり、家具の下敷きにしたりすると劣化を早めて火災の原因になってしまいます。コンセントとプラグの間のホコリが湿気を含んだ空気を吸うことで漏電が発生する事例もありました。

2-2.地震

1978年に宮城県沖で発生した地震をきっかけに建築基準法が見直され、新耐震基準が適用されています。そのため、1981年以降に建てられた建物は、倒壊の心配がほとんどありません。

しかし、震度5強以上の地震が発生した場合は、オフィス内の家具や機器が倒れるだけでなく、窓ガラスが割れたりブロック塀が崩れたりなどの被害が及ぶ可能性があります。

2-3.水害

台風や集中豪雨などの影響で、洪水が発生する地域が拡大しています。そのため海沿いにオフィスがある企業は、津波にも注意が必要です。水に浸かったパソコンやスキャナーなどの機器は、電気回路に水が浸入して使用できなくなります。

2-4.感染症

オフィスでは複数名の従業員が働いているため、以下の身近な感染症が発症する可能性があります。

  • 風邪
  • インフルエンザ
  • コロナウイルス
  • ノロウイルス
  • 食中毒

近年はコロナウイルス対策により、リモートワークを推奨している企業も増えてきていますが、依然注意が必要でしょう。

3.オフィスの防災で今から始められる9つの取り組み

万が一災害が発生した場合、被害を最小限に抑えるために日常の防災対策が必要不可欠です。オフィスですぐに始められる9つの取り組みを以下でご紹介します。

3-1.必要なパソコンデータのバックアップ

水害でパソコンやサーバーが使えなくなる可能性があります。そのため、重要なデータは定期的にバックアップをとっておくことが大切です。バックアップは、外付けハードディスクやクラウドサービスなどに保存しておきましょう。

3-2.オフィス家具や家電の固定

地震でオフィスの家具が倒れると従業員にけがを負わせたり、火災の原因になったりする可能性があります。家具の脚や転倒防止金具などを活用して、倒れないように固定しましょう。

3-3.避難経路の確保

災害が発生した場合、すばやく安全な場所に避難することが大切です。そのため、避難経路をしっかりと確保しておく必要があります。避難経路周辺は、物を置かずに整理整頓しておきましょう。

3-4.非常事態の際の連絡方法を確認

災害が発生した場合、外部の従業員や取引先との連絡が取れなくなる可能性があります。そのため、非常事態ように複数の連絡手段を用意しておくと安心です。電話番号以外にも、メールや安否確認システムの導入も検討してみてください。

3-5.オフィスレイアウトの変更

オフィスのレイアウトを変更することで、避難経路を広く確保できます。また、不安定になってしまう家具や家電などは、高い位置に置かないよう工夫しておきましょう。落下が原因で怪我をする可能性も考えられます。

3-6.防災訓練や防災教育の徹底

企業には、消防法により年に1回以上の避難訓練の実施が義務付けられています。

災害が発生した時の速やかな対応は、普段の防災訓練や防災教育で変わるため、防災マニュアルを作成して、従業員に周知しておきましょう。

3-7.災害時を乗り切るための備蓄

災害で交通機関が使えなくなった場合、会社に残った従業員は数日間、オフィスで過ごすことになるかもしれません。災害時を乗り切るために以下の備蓄をしておきましょう。

備蓄品備蓄量
3日分
食料3日分
トイレットペーパー3日分
簡易トイレ3日分
懐中電灯1人1台
ラジオ1人1台
常備薬(解熱剤・胃腸薬)必要分
毛布1人1枚
携帯電話用バッテリー1人1台

3-8.感染症対策の徹底

コロナウイルスの他に、冬はインフルエンザ蔓延の可能性もあります。そのため、日頃のうがいや、手洗いなど感染症対策を徹底しておきましょう。また、体温計やマスクなどの備蓄もあるか確認しておくことも重要です。

3-9.防犯グッズの用意

停電対策や安全対策として、懐中電灯やヘルメットなどの防犯グッズを用意しておきましょう。最近は、非常持ち出し袋がリュックになって販売されています。万が一のために、すぐに持ち運びができる状態にしておくことが大切です。

4.オフィス防災EXPOで災害対策の課題を学ぼう

オフィス防災EXPOは、オフィスの危機管理や災害対策の課題が学べるイベントです。主に以下の内容を学べます。

  • オフィスにおける災害のリスク
  • オフィスの防災対策の最新動向
  • 防災関連の製品やサービスの活用方法

また、防災関連の製品やサービスを展開する企業が多数出展しています。オフィスの防災対策を強化したい方は、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

5.オフィス内で日常的に防災に対する意識を高めよう

オフィスの防災対策は、日頃から意識して行うことが大切です。オフィスのある地域により、条例で災害対策を行うことが求められる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

日本では今後も火災や地震、水害などの災害が発生する可能性があります。オフィスの防災対策の課題を学び、防災関連の製品やサービスを活用することも検討してみてください。