事務所の立ち上げや移転にともなって家具を新調するとき、意外と決めにくいのがオフィスチェアです。使う人や場所によって最適なものが異なり、多くの種類から選ばなければならないからです。
この記事では、オフィスチェアに関する基礎知識、予算に合った選び方や選ぶ際の注意点をご紹介します。オフィス家具の新規購入にかかわる担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
オフィスチェアを探すうえでまず知っておきたいこと
自社に合うオフィスチェアを効率良く探すために、まず以下のことを知っておきましょう。
価格帯による特徴の違い
オフィスチェアは、1万円以下のものから10万円以上のもの まで幅広くあります。商品によって違いはありますが、ご参考までに価格帯による違いの例をいくつか挙げておきましょう。
1万円以下のものは、アームレストのない形でコンパクトなものが中心です。高さ調整やキャスターつきなどの必要な機能は備えています。
1万円~2万円になると、メッシュ素材やアームレストつきなど、長時間のパソコン作業も快適にできるオフィスチェアが見つかります。この価格帯の商品は多くあるため、機能を絞れば予算にあった最適なものが見つかるはずです。
3万円以上の価格では、背もたれの可動域が広くなったり各部の細かい調整ができたりと、高機能、多機能のオフィスチェアを選べるようになります。またデザインや素材の幅も広くなります。
10万円を超えると、人工工学に基づいた調整機能など、品質にこだわりのあるハイブランドや有名メーカーのオフィスチェアに手が届きます。
予算内でどこにどの程度費用をかけるのか、事前に検討しておくといいでしょう。
用途別オフィスチェアの種類
オフィスチェアを用途別に把握しておけば、予算の割り当てや注文数の調整などをスムーズに行なうことができます。
会議スペースは規模や数に合わせ、ある程度まとまった数のオフィスチェアを必要とします。シンプルで適度な座り心地のものであれば、低価格帯のものでも十分使用できるでしょう。
ただし、来客対応にも使用する会議スペースを設ける場合は、全体のインテリアに合わせてデザイン性をもつオフィスチェアを選ぶことも検討したいところです。
ワークスペースで使うオフィスチェアは、パソコン作業などで長時間座ることも想定し、機能性に優れて微調整も可能な体に優しいものを選ぶといいでしょう。お金をかけるべきところはしっかりとかけることで、社員からも喜ばれて職場の生産性も上がります。
次項で解説する選び方のポイントを参考にしてみてください。
最適なオフィスチェアの選び方
準備が整ったところで、いよいよオフィスチェアを探してみましょう。たくさんの種類から最適なものを選ぶために、押さえておきたいポイントを解説します。
背もたれの高さ
背もたれの高さは、ハイバック、ローバック、ミドルバックの3種類です。
ハイバックは背中全面を覆う高さであるため、長時間の作業でも快適に座ることができます。ただしサイズが大きい分圧迫感があることと、価格も高めとなる傾向です。
ローバックはコンパクトで場所をとらず、比較的安価なオフィスチェアであり、ある程度の数を購入しても費用が抑えられます。しかし、長時間の作業にはあまり向きません。
ミドルバックは上記2種類の中間となり、適度な座り心地でありながら圧迫感を抑えています。商品数が多いため、選択肢が広がります。
張地と素材
オフィスチェアに使われる張地や座面の素材のなかでは、通気性のある「メッシュ」がおすすめです。熱のこもりを防ぎ、オールシーズン快適に過ごせます。隙間にほこりがたまりやすい傾向があることは覚えておきましょう。
ファブリック(布地)素材では、カラーが豊富でデザイン性のあるオフィスチェアが選べます。手触りが良く、種類も多くて価格も安価ですが、水や汚れに弱いところがデメリットです。
レザーには合皮、本革などの種類がありますが、良い素材のものは高級感があり、価格も上がります。エグゼクティブチェアなどにもおすすめですが、蒸れやすさは考慮しておきましょう。
なお、クッション素材としては、多くのオフィスチェアの座面に採用されているウレタンのほかに、型崩れしにくくフィット感に優れたモールドウレタンがあります。
ロッキング機能と昇降機能
ロッキング「rocking」とは、「揺らす、揺さぶる」の意味であり、体の動きに合わせて背もたれや座面が後ろに倒れる機能を指します。この機能があると長時間座っても疲れにくいため、ワークスペースのオフィスチェアにはぜひほしいところです。
背ロッキング(背もたれだけが倒れる)、背座一体型ロッキング(背もたれと座面が同時に倒れる)、シンクロロッキング(背もたれと座面が別々に倒れる)の3種類があり、順に価格も高くなっていきます。
またワークスペースのオフィスチェアには、一人ひとり身長や座高が異なる社員が高さを調整できる昇降機能が欠かせません。選択の際に見落とさないように注意しましょう。
アームレストとランバーサポート
価格は少し上がりますが、長時間座っていても体が疲れにくいように姿勢を保つサポート機能があります。ここでは2つ挙げておきましょう。
アームレスト(肘かけ)は、両腕の重さを分散させることで、肩周りの負担を軽減してくれます。ワークスペースのオフィスチェアとしてはぜひほしいところですが、デスク幅に余裕がある場合に限られます。
また通常、アームレストがデスクにあたってチェアをデスク下に収納できませんが、高さ調整や上下もしくは左右の可動ができるものもあります。
ランバーサポートは、深く腰かけると背骨が自然にS字状になるように、背もたれの腰の位置についているクッションです。腰にフィットすることで、長時間座っていても腰に負担がかかりません。
こちらも前後、上下に調節できる機能をもつ高価格帯のチェアもあり、座る人にぴったりの位置に調整することができます。
オフィスチェアを購入する際の注意点
さまざまな選択肢のなかからオフィスチェアの候補が決まってきたら、以下の点に注意しておくといいでしょう。
まず、設置スペースの確認です。デスクの高さとチェアの高さは合わせられるか、チェアの足がデスクに干渉しないか、後ろの通路の通りやすさは問題ないかなど、そこにチェアが置いてあることを想定してしっかり確認しておきましょう。
設置スペースの細かい仕様がわからない場合は、購入したオフィスチェアを無駄にしないために、汎用性のあるものを選ぶといいでしょう。座面の昇降機能や可動できるアームレストなど、必要に合わせて機能を選ぶ基準となります。
購入にともなうサービスも見逃さないようにしましょう。注文数が多い組み立て式のオフィスチェアであれば、組み立てサービスの利用が便利です。メーカー保証や延長保証などもリスク回避となります。予算との兼ね合いで確認しておきましょう。
まとめ
オフィスチェアを選ぶうえで大切な視点をお伝えしてきました。自社に最適なオフィスチェアのイメージはできたでしょうか。
オフィス家具にはほかにキャビネットやデスクなどもありますが、使う場所や用途が明確であるため、担当者がある程度の客観性をもって選べます。その一方で、オフィスチェアの善し悪しの判断は、使う人の主観によるものが大きいものです。
だからこそ、社員に喜んでもらえれば、仕事の効率アップや社員の貢献意欲につながる重要な家具ともいえるでしょう。
予算は限られていても、想像力をもって事前に準備を工夫すれば、最適なオフィスチェアを選ぶことは可能です。今記事をきっかけに自社に合ったオフィスチェアを選んでみてください。