オフィスを移転する際に、これまでとは異なる雰囲気のフロアへと一新する企業が増えています。そのなかでも、快適な空間を実現するために「スケルトン天井」を希望する割合が高まっています。

本記事は、スケルトン天井の概要とメリット・デメリット、スケルトン天井を採用する際の注意点についてまとめています。

今後、オフィスを移転しスケルトン天井を施したオシャレなフロアを実現したい企業の担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

スケルトン天井とは ?

スケルトン天井とは ?

天井にパネルなどを貼らずに躯体や配管がむき出しの状態となっている天井のことを、「スケルトン天井」と呼びます。カフェやレストランなどでよく見られますが、近年はオフィスの内装としても採用されるなど、急速に普及しているデザインです。

これまでは吊り天井の一種である「在来工法天井」や、仕上げ材のほか照明や空調などの設備と組み合わせた「システム天井」がおもに利用されてきました。

スケルトン天井の4つのメリット

スケルトン天井の4つのメリット

なぜ、オフィスの内装としてスケルトン天井が普及してきたのか、そのメリットをご紹介します。

開放感が生まれる

スケルトン天井の大きなメリットの一つは、開放感が得られることです。通常の天井より50cm~1mほど天井高が高くなるので、空間が広いように感じられます。また、天井が低いときに感じられた上からの圧迫感や閉塞感がなくなるなど、心理的にも影響を与えています。

デザインの幅が広がる

デザイン性の高さもスケルトン天井にする一つのメリットです。これまで設置できなかった照明やインテリアの採用が可能です。また、壁や床のデザインを一層引き立たせる効果もあり、クリエイティブで先進的なイメージがアップします。

また、デザイン性が重視される業種では、来客に対してもデザインセンスが良い企業であることをアピールできます。

雰囲気がおしゃれになる

スケルトン天井はもともと、おしゃれなカフェやレストランなどで採用されていたことから、オフィスに導入することでおしゃれな雰囲気を演出できます。そのため、オフィスっぽさがなくなり、スタイリッシュでデザイン性の高い空間に仕上がります。

ストレスを軽減しモチベーションが上がる

開放的な空間では、心理的なストレスが軽減され、そこで働く人のモチベーションを高める効果があります。

また、天井の高さが人に与える影響を「カテドラル効果」と呼びます。天井が高い場合には創造性の高い思考を広げやすく、逆に天井が低い場合には細部を掘り下げるような、具体性を持った思考を広げやすいといわれています。特にクリエイティブな思考を重視する場合にはスケルトン天井を採用して業務効率を上げるような施策も効果的です。

スケルトン天井の3つのデメリット

さまざまなメリットがあるスケルトン天井ですが、反面、デメリットも存在します。ここではおもに3つのデメリットについて説明します。

照明が暗く感じる

スケルトン天井を導入することで照明との距離が広がり、照明が暗く感じることがあります。照明をより明るいタイプのものに変更するほか、数を増やすなどして明るくする施策が必要です。また、むき出しの天井を明るい色で塗ると明るい印象を与えることができます。

空調の効きが悪くなる

スケルトン天井は空間が広くなる代わりに、空調効率が低下することもデメリットの一つです。また、内装や間仕切りがなくなるため、外気の影響を受けやすくなることもあります。結果として、夏は暑く冬は寒いオフィスとなり、快適性が低下するかもしれません。

天井にシーリングファンを取り付けることで空調効率を多少は改善できますが、デザイン性を損なうことがあるため、専門家に相談するとよいでしょう。

コストがかかる

オフィスを移転する際、物件を新たにスケルトン天井に変更する場合には、天井の解体費用のほか、場合によっては配管や配線を移設する必要があるため、余分なコストがかかります。賃貸の場合にもこれらの費用が借主負担とされ、入居費用が高くなるでしょう。

また、賃貸のオフィスでは退去時に天井を初期状態に戻す必要があります(原状回復義務)。そのため、自社物件よりコストがかる可能性もあることに気を付けましょう。

移転を前に知っておきたい!スケルトン天井の注意点

スケルトン天井を導入する際には、以下の注意点に気を付けましょう。

物件によってはスケルトン天井にできない

入居するオフィスビルの構造や法律などの関係上、そもそもスケルトン天井にはできない物件が存在します。そのため、スケルトン天井にできる物件であるかどうかを調査しておくことが肝心です。

オーナーの許可を得ること

特に賃貸物件でスケルトン天井を導入する場合には、事前に物件のオーナーやビルの管理会社に連絡して許可を得ておく必要があります。天井内の配管や電気設備の位置や構造によっては、他のオフィスにも影響が出る場合があるためです。

法令に従うこと

スケルトン天井へ改装する際には、消防法や建築基準法などの法令に違反しないことが重要です。具体的には、消防設備や排煙設備に影響をおよぼさないようにするためで、設計段階でスケルトン天井への改装が可能かどうか確認しておきましょう。

まとめ

オフィスにスケルトン天井を導入する事例が増えています。スケルトン天井は開放感があり、雰囲気がおしゃれになるほか従業員のモチベーションが上がるなどの利点があります。

しかし、照明をより明るいものに変えないと暗く感じたり、オフィスの容積が広がるため空調の効きが悪くなったりします。また、天井の解体や配管類の移設にともないコストがかかるといったデメリットもあります。事前にオーナーの許可を得て法令に従い改装することが重要です。

オフィス移転を機にスケルトン天井を導入して、従業員のモチベーションアップのほか、自社イメージの向上などを図ってみてはいかがでしょうか。