オフィス移転を計画する際、入居審査は避けて通れないステップです。気に入った物件が見つかっても、オーナー側の審査を通過しなければ、新しいオフィスへの入居は叶いません。
そこで今回は、入居審査の基準と、審査をスムーズに通過するためのコツをご紹介します。
ぜひ参考にしてくださいね。
目次
オフィスの入居時に審査があるのはなんのため?
オフィス入居時に審査が行われる理由は、簡単に言うとオーナーと入居者双方の利益と安全を保護するためです。
- 入居者に賃料を適切に支払う能力があるかどうか
- 入居者は契約内容を守る意思があるのか
- 事業内容はどのようなものか
- 業績不振ではないか
といったようなことを審査し、お互いに不利益が及ばないよう、またリスクを最小限に抑えられるようするのです。
オフィス入居までの流れ
通常は以下のような流れです。
1. 移転先オフィスの希望条件をまとめる
↓
2. 物件探し
↓
3. 物件の内見・決定
↓
4. 入居申込み・審査
希望する条件にマッチする物件が見つかったら、内見で周辺環境含め、細かな部分までチェックします。その上で問題なければ、入居の申込みです。
必要書類を提出することで申し込みが完了し、その書類を元にオーナーが審査を行います。
オフィス入居審査の際に必要な書類
主に入居審査に必要な書類は以下のものです。
ホームページやパンフレットなどに記載されている会社概要
その会社がどのような事業を行っているか把握するために提出する必要があります。
資料の提出だけで済む場合もあれば、オーナー側に直接説明する場合もあります。この際、会社の事業内容を分かりやすく記載した資料があると、とても便利です。
法人の登記謄本
会社が法人として存在していることを証明する重要な書類です。
印鑑証明書
契約書に押印する印が、実印登録されているものであるかどうか判断するために必要です。
直近3期分の決算報告書
会社の財務状況を判断し、現実として家賃を支払う能力があるかどうかを確認します。3期分用意する理由としては、会社の業績が伸びているかどうかを判断するためです。
設立間もない会社では、この資料が用意できないため、事業計画書などの別資料を提出します。
事業計画書
特に設立して間もない会社は、実績が少ないこともあり、厳しい目で審査されます。
家賃を支払うことができるかどうか判断しにくいので、当然と言えば当然です。
だからこそ今後安定した収益を上げ「家賃を問題なく払えます」という根拠と意思表示としても「事業計画書」が必要です。成長が見込める事業であることが伝わるように、丁寧に作成しておきましょう。
連帯保証人の身分証明書
連帯保証人の実在を確認するために、運転免許所やパスポートを提出する必要があります。写真付きの証明書を用意しておきましょう。
連帯保証人の収入証明書
連帯保証人の収入を証明するために必要です。源泉徴収票が一般的ではありますが、住民税決定通知書や課税証明書の提出を求められることもあります。
入居審査にかかる日数は、物件やオーナーによって変わりますが、一般的には3日~1週間ほどです。
オフィス入居審査の基準
オフィス入居審査の基準は、つまるところ「信用できるか否か」です。その信用を、決算報告書、業種、連帯保証人の支払い能力、企業の将来性などの観点から審査されるわけです。
審査の内容にあたる要素を細かく見ていきましょう。
1.信用調査
目的:入居者の信用情報を確認し、賃料の支払い能力を評価する。
根拠:信用情報機関のデータや、銀行の取引履歴など。
2.決算報告書
目的:企業の財務状況を把握し、経営の安定性を評価する。
根拠:直近3期分の決算報告書、貸借対照表など。
3.業種と使用方法
目的:オフィスの使用方法が契約に適合しているかを確認する。
根拠:業界標準、地域の法規制など。
4.連帯保証人の支払い能力
目的:連帯保証人が賃料の支払い能力を有しているかを確認する。
根拠:保証人の収入証明書、信用情報など。
5.企業の将来性
目的:企業の成長ポテンシャルと将来の安定性を評価する。
根拠:事業計画、業界分析、市場調査など。
オーナーによって細かい部分は、当然異なりますが、このような要素を審査した上で、最終的に判断が下されます。何より重要なのは「信用できるか否か」です。
オフィスを借りれば、当然長い付き合いになりますし、その建物に入っている会社の評判=その建物の評判と言い換えることもできます。そう考えるとおのずと、オーナー側が審査で何を気にするか、何となくつかめてきますね。
審査が通りやすくなるコツ
審査の基準はオーナーによって異なるので、「これが絶対だ!」という明確な基準はありません。しかし、これはやっておいて損はないというようなコツはありますので、ここでいくつか紹介します。
そもそも審査が通りにくいケースとは
そもそもオフィス入居審査が通りにくいケースを頭に入れておきましょう。
会社を設立したばかり(1年未満)
この場合、先ほどもお伝えしましたが、実績が少なく、かつ3期分の決算書が用意できないため、数字で会社が成長しているかどうか確認できません。
そのため、絶対通らないわけではありませんが、事業計画書など別の資料も用意して備えましょう。
資本金が少ない(100万円未満)
資本金が少ない会社は、リスクが高いとみなされます。こちらも事業計画書などで、将来の成長戦略を明確にしておきましょう。
役員報酬が少ない
「役員報酬が極端に少ない(年収100万円)=役員報酬を支払うと赤字になる」と判断され、審査に通りづらくなります。
債務超過
債務超過とは、負債が資産を上回る状態ですが、この状態のときは審査に落ちると考えてください。
業種が怪しい
水商売や賃金業、アダルト関係の業種などは、一般的に信用が低いとされており、審査も通りにくいです。また、なにをやっているのかわからないという会社も当然ながら審査に通りづらいです。
このような場合は、事業内容と将来性を明確にしたうえで、保証会社を付けて対応することもできます。
オフィスの入居審査が通りにくいケースは、信用情報や財務状況、業種などが主な理由です。これらのケースに該当する場合でも、適切な対策を講じれば、審査を通過する可能性は高められます。
入居審査のコツ
それでは、入居審査が通りやすくなるためのコツを紹介します。
オーナーの審査基準や傾向を把握しておく
審査基準は明確に決まっているわけではありません。書類やデータは、最低限チェックして、後は人柄で判断する、という方もいらっしゃるでしょう。
そもそも賃貸の貸主は2つに分けられます。
それは「個人のオーナー」と「デベロッパーや管理会社」です。
個人のオーナーの場合は、その人の性格や好みが反映された基準の場合が多く、数字よりも人柄を注視してくれる傾向にあるといっても良いでしょう。設立間もない会社は、こちらの個人オーナーの方が通りやすいでしょう。
反対に、デベロッパーや管理会社は数字を注視します。提出した決算書だけでなく、帝国データバンクや調査会社の情報を元に、判断されます。
この傾向を踏まえて、審査に向けた準備を行いましょう。
仲介業者の選定
審査の難度は、不動産会社・仲介業者によって大きく変わってきます。
業者によっては、物件選びだけでなく、審査を含め入居までに手厚いサポートをしてくれるところもあります。また、その業者がオーナーと親密な関係を構築できていれば、入居審査に通りやすくなる場合もあるでしょう。
面談での印象
入居審査において、書類審査と同じぐらい面談審査での印象も重要です。良い印象を与えることで、審査の成功確率を高めることができる。
長い付き合いになる賃貸契約ですから、悪印象の人に貸したいとは思いませんよね。例えば、面談時に遅刻してしまったり、清潔感がない格好で来たりすれば、自己管理ができない人と思われるかもしれませんし、面談時に値下げ交渉や無理な条件を突き付けてくる人であれば、入居後も無理な要求や文句などを言ってくるのだろうと思われてしまいます。
そうするとやはり悪い印象が植えつけられ、審査が通りにくくなるかもしれません。
当たり前のことではありますが、常に相手のことを考えて、誠実な対応を心がけましょう。
事前の準備に全力を注ぐ
審査にあたって提出する書類は、いくつかあります。簡単に用意できるものもあれば、準備に時間がかかるものもあります。
入居の申し込みをして、期日内に必要書類を提出できなければ、それだけで信用を失い審査に通らないこともあります。余裕をもったスケジュールで必要書類を用意し、会社概要や事業計画書などの資料は、作り込んでおきましょう。
まとめ
今回は、オフィスに入居する際の審査基準と、審査を通りやすくするためのコツを紹介しました。テクニック的な部分もありましたが、何より大事なのは、あなたとあなたの会社が信用するに値するか否かです。
常にそのことを念頭に置いて、理想のオフィスへの移転を叶えてくださいね。