蔵前といわれてピンとくる方もいれば、どの辺りか分からない方もいるかもしれません。
蔵前は若い女性を中心に、近年人気を集めているエリアです。
蔵前の街の特徴や歴史を見ていきましょう。

蔵前の特徴

蔵前は浅草から近い下町で、隅田川に近く、スカイツリーなども見られるエリアです。
どのような場所なのか、特徴を見ていきましょう。

下町風情が漂っている

蔵前は、国内外から多くの観光客が訪れる浅草と、問屋街として知られている浅草橋の間に位置する地域です。
蔵前駅を出ると、中高層ビルが建ち並び、思った以上に近代的と感じるかもしれません。
オフィスビルやビジネスホテルなどが建ち並んでおり、ビルの先に押上にあるスカイツリーが垣間見えるスポットもあります。

裏通りなどに入ると、古くから住んでいる方も多く、下町風情がまだ残されています。
蔵前のエリアに面して隅田川が流れており、リバーサイド沿いは春に桜が咲くなど、風情が感じられるのも魅力です。
夏には、全国的にも有名な隅田川花火大会が開催され、蔵前エリアからは花火もよく見えるので、多くの観覧客が訪れます。

下町の高級住宅街

かつては、長屋や戸建住宅などが建ち並ぶ下町の住宅街でしたが、駅からの大通りを中心にオフィスビルが増え、マンションも増えました。
現在では下町の高級住宅街として、賃料が高めのマンションが若い方などを中心に、人気があります。

眺望が良い高い階によっては、窓やベランダからスカイツリーが見えたり、隅田川花火大会の花火が見えたりします。
そのため賃料も高くなり、競争率も高いです。
蔵前からは、銀座や新橋などへのアクセスも良いことから、都心部への通勤やショッピングなどもしやすく、人気が出ています。

おしゃれなカフェやスイーツショップが増えている

おしゃれなカフェやスイーツショップが増えている

近年、蔵前にはおしゃれなカフェやスイーツショップが増え、女性を中心に人気を集めています。
古いビルや建物をリノベーションした、少しレトロな雰囲気を感じるカフェなども多く、いつもと違う雰囲気を感じながら、美味しいスイーツやこだわりのコーヒーなどを楽しめます。

近隣のオフィスに勤める方のランチや休憩に利用されるだけでなく、わざわざお店の噂を聞きつけてやってくる方も少なくありません。
お店を出店する方も、下町風情が残る一方で、東京の新たなランドマークとなったスカイツリーもあるなど新旧が融合した場所で、こだわりのある独自のメニューを提供したいと集まってきています。

蔵前の歴史

では、蔵前はどのような歴史をもつエリアなのか、見ていきましょう。

蔵前の名称の由来

蔵前は蔵の前を意味し、江戸時代に蔵が建っていたことから地域名がつきました。
幕府直轄の御米蔵が建っていた場所で、江戸時代に天領から運ばれてきた米が、この地にあった蔵に貯蔵されていました。

蔵を建てるにあたっては、現在も蔵前の地に残されている鳥越神社がある場所の丘を切り崩したうえで、その土砂を使って隅田川の一部を埋め立て、敷地を整備しています。
鳥越神社の丘は鳥越山と呼ばれており、実は3つの神社がありました。
そのうちの二社を別の場所に移転させ、現在も残る鳥越神社1社のみが残されます。
そのうえで、移転した跡地の丘を切り崩して、埋め立てに使ったという記録が残っています。

1620年、元和6年のことです。
そして、幕府直轄の御米蔵が建てられた西側のエリアが、江戸時代中期以降になると、蔵前と呼ばれるようになったのです。
蔵前は、重要な食糧源となるお米を中心にした物流の拠点となっただけでなく、米の取引を契機に商業の場としても栄えていきました。

米と一緒にほかの食材などもほしいと考えるケースが多く、食材や酒などさまざまな商品の取引が行われるなど、商取引の場として賑わいを見せていったのです。
明治維新を迎えて江戸幕府が倒幕されてからも、今度は明治政府の政府御蔵として機能しています。
ただ、大正時代の1923年に発生した関東大震災で、残念ながら倒壊、焼失してしまいました。
現在では、蔵前橋のたもとに浅草御蔵跡という石碑が立っており、当時の面影を語り継いでいます。

明治時代以降の蔵前

明治時代に入ると、浅草御蔵と蔵奉行以下の役宅地は、明治政府の管理下に入ります。
南側を農商務省が管理し、北側は大蔵省の管轄となります。
これを契機に、蔵前エリアには官公庁関連の施設が集積するようになったのです。
明治7年(1874年)になる大成殿大講堂を会議場とすることとなり、この地に置かれていた書籍館蔵書を、政府御蔵となっていた浅草御蔵に移転することになりました。

そして、明治8年(1875年)に、内務省管理の浅草文庫が開館します。
その後、湯島聖堂に博物館併設の東京書籍館が設置されていましたが、引き続き蔵書が保管され、蔵前閲覧所と改称されました。

戦後の蔵前

東京大空襲などの空襲により、このエリアも焦土と化します。
戦後になると、かつて両国の地にあった相撲場を再建する話が持ち上がり、蔵前の地に蔵前国技館が造られます。

大相撲の興行などが行われ、蔵前はしばらく相撲観戦客や相撲部屋の力士などが行きかい、賑わいを見せたのです。
相撲にととまらず、剣道や柔道、プロレスの初興行が行われるなど、スポーツ系のイベントが開催され、多くの観戦客で賑わっていました。

しかし、30年ほど経過し、老朽化などの理由から取り壊されることが決まり、1985年(昭和60年)、両国の地に両国国技館が完成します。
蔵前国技館は1984年の9月場所をもって閉館し、老朽化した建物は解体されました。
跡地には現在、東京都下水道局の処理施設が建設されています。
蔵前水の館という見学施設が併設されており、地下30mの水道施設を見学することが可能です。

見学施設の地下へと降りていく階段には、昔の蔵前国技館の歴史を彷彿とさせる展示がなされており、横綱や大関など相撲の番付がつけられていたり、力士の手形などが飾られていたりします。
現在、相撲というと両国ですが、この場所に来ると、この地で大相撲が行われていた歴史を見られます。

蔵前の交通アクセス

蔵前の交通アクセス

蔵前には蔵前駅があり、都営浅草線と都営大江戸線を使えます。
都営浅草線は人形町駅、日本橋駅をはじめ、東銀座駅や新橋駅、大門駅、五反田駅など、オフィス街にダイレクトアクセスできます。
東銀座から歩いてすぐ銀座なので、大門駅は浜松町駅とすぐ接続され、モノレールなどにも乗り換えやすいです。

都営浅草線は、羽田空港や成田空港とも直通運転しているので、出張などにも便利です。
都営大江戸線を使えば、六本木駅や青山一丁目駅をはじめ、新宿西口駅や東京都庁前などのオフィス街にスムーズに行けます。

蔵前のオフィス賃料相場

蔵前の賃料相場の坪単価は、15,000円前後です。
立地や駅からの距離、周辺環境、築年数や設備によっても変動するので、確認が必要です。

まとめ

蔵前は下町風情を残しながらも、オフィスビルやおしゃれなカフェなどが増え、若い女性などからも注目されているエリアです。
スカイツリーが見え、夏の風物詩として人気が高い隅田川花火大会が見えるなど、立地にも恵まれています。
都営浅草線や都営大江戸線など、都心部のオフィス街ともダイレクトに行き来が可能で、交通アクセスも便利です。

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