神保町は、書店街やレコードの街、学生街として知られ、近年ではカレーの街としても人気を集めています。

神保町の現代までの歴史や街の特徴を見ていきましょう。

神保町の特徴

神保町は、専修大学、明治大学、法政大学、日本大学など、大学のキャンパスがあります。多くの学生が集う学生街であるとともに、書店街やカレーの街として、全国から世代を超えた人たちが集まってきます。

それでは、神保町の特徴を見ていきましょう。

古書街

古書街

神保町は世界一の本の街とも言われ、古書や専門書などを集めた130店あまりの書店が軒を連ねています。すべての書店の本を集めれば、数百万点にもおよびます。

古地図や学術書、医学や芸術などの専門書をはじめ、小説などの文学書や古い時代から現代に至るまでのコミックや雑誌など、幅広いジャンルの古書を手に入れることが可能です。

一定のジャンルを専門にするお店をはじめ、一つのお店で多彩なジャンルをそろえるお店も少なくありません。お目当ての古書を探し回るのはもちろん、興味本位で見て回っても、思わず手に取ってしまいたくなるお宝と出会えます。

古書だけでなく、懐かしのレコードやCDなどを販売するお店もあるので、気になるアイテムがある人はぜひ訪れてみましょう。

カレーの街

学生街、古書街として知られていた神保町は、近年カレーの街としても人気を集め、さまざまなこだわりを持つカレー店が集まっています。日本風のカレー、欧風カレー、インドやスリランカのカレーなど、カレーのジャンルも多彩です。

チキンカレーやポークカレー、ビーフカレーやシーフードカレーをはじめ、豆カレーや野菜カレー、ボリュームたっぷりのカツカレーや目玉焼き、チーズをトッピングしたカレーにオムカレーなど、各店でこだわりのカレーを開発、提供しています。

味わいがさまざまなので、ランチにカレーを食べて古書街巡りをしてお腹を空かせたら、夕食にカレーを食べて帰るなど、カレー店のはしごをする方も少なくありません。

老舗の飲食店が残る街

老舗の飲食店が残る街

神保町は、古くより学生街や古書街として親しまれ、学生をはじめとした多くの文人などが集まったことから、彼らの胃袋を満たす飲食店も多く集まっていました。

今でも、古くから営業を続ける老舗店が残されています。

「天麩羅はちまき」は、昭和6年(1931年)創業で、推理小説家として名高い江戸川乱歩が足しげく通ったお店として知られています。穴子と海老天が乗った天丼が、お気に入りだったとのことです。

店内には「晝は夢 夜ぞ現」という乱歩のメッセージが入った直筆サインも掲げられており、現在でも乱歩ファンが訪れています。

また、靖国通り沿いにある「ランチョン」は、明治42年(1909年)創業です。当時としては珍しかった、洋食とビールを提供する老舗です。

長きにわたって親しまれてきた人気のビーフパイは、酒好きで食通として知られる吉田健一氏が「会話に夢中になるとナイフとフォークを使って洋食を食べるのが面倒」「好物のビーフシチューを手づかみで食べたい」というリクエストに応えて、生み出されたというエピソードがあります。
ナイフとフォークでいただく、メンチカツなどもおすすめです。

「ラドリオ」は、昭和24年(1949年)創業の老舗喫茶店です。作家や編集者、文学を愛する学生が、熱狂的に文学議論を交わす場として親しまれてきました。クリームを浮かべたウィンナーコーヒーなどが人気です。

神保町の歴史

神保町の歴史

では、神保町はどうして古書街やカレー街になっていったのか、歴史を紐解いていきましょう。

学校の設立と書店や出版社の増加

神保町には明治時代以降、専修大学や明治大学、法政大学などの学校が続々と設立されていきました。

学生を対象にしたお店が集まるようになり、学生のための飲食店やお店も増えていきます。

明治10年に入ると、神保町周辺には法律学校が増えていきます。法律系の専門書などを扱う書店や古書店が続々と出店するようになり、現在の神田古書店街の礎を築いていきます。

さらに、法律書で有名な有斐閣をはじめ、辞書や教科書などでも有名となる三省堂や岩波書店、冨山房、生活書や子ども向け雑誌、マンガ誌やファッション誌などを出版する主婦の友社や小学館、集英社など、多くの出版社が神保町に拠点を構えました。

三省堂書店は、もともと明治14年(1881年)に、神保町の地に開業した古書店の一つです。1883年には新刊を扱う書店となり、1884年からは辞書の編纂を手掛けるなど、出版業務もスタートさせた歴史を有しています。

神保町通りと神田すずらん通り

神保町通りには、大正14年(1925年)頃に東京で初めてすずらん型の街路灯が設置され、神田すずらん通りと呼ばれるようになりました。江戸時代には神保小路と呼ばれており、古書店も出店していました。

しかし、大正2年(1913年)に発生した神田大火で、神保町界隈は全焼してしまいます。大火後には、現在の靖国通りの南側が拡幅されます。

一方で、道の拡幅により土地が狭くなったところに、ほかの場所からも古書店が移転してきたことや新規出店をするようになり、古書街へと成長していく契機になりました。

カレー街が形成された歴史

カレー街が形成された歴史

神保町がなぜカレー街として、カレーの店が集まるようになったのかは、実は定かではありません。

神田古書センターがオープンする際に、古書店の一つである高山本店の店主が、欧風カレー ボンディを誘致したのがはじまりとも言われています。

カレー店が増えたのは、古書店で手に入れたお気に入りの本を読みながら食事をするのに、手を汚さず、スプーン一つで食べられるカレーがピッタリだったからという説もあります。
また、学生が多い街なので、安くてボリュームたっぷりのカレーの需要が高いからという説もあります。

歴史をさかのぼると、コーヒー豆を安価に輸入できるようになった昭和40年代頃には、学生街の神保町にも学生が集い、読書や勉強をする場所として喫茶店が続々と誕生していきました。
買ったばかりの本を片手にコーヒーを飲むという読書スタイルも、広がりを見せていきます。

コーヒー豆の輸入とともに、カレーづくりに欠かせないスパイスの輸入も盛んとなり、コーヒーと一緒にスパイスを仕入れた喫茶店で、フードメニューとしてカレーが提供されるようになったという説もあります。

現在でもカレーを食べ、コーヒーを飲みながら読書をする姿が見かけられますが、今の学生はスマホ世代なので、その多くは全国から訪れる古書ファンやカレーファン、学生時代を懐かしんで訪れるシニア世代です。

古書を探し求める人は専門性や個性を求める人が多く、スパイスや具材のこだわり一つで味が変わるカレーとの相性が良く、こだわりのカレー店が好まれるからという説も有力です。

神保町の交通アクセス

神保町の交通アクセス

神保町は、東京メトロ半蔵門線と都営三田線、都営新宿線の神保町駅が使えます。
東京メトロ半蔵門線は、永田町や青山一丁目、表参道、渋谷方面へダイレクトにアクセスでき、逆方向なら大手町や錦糸町、スカイツリーがある押上へとアクセスできるので便利です。

都営三田線を使えば、日比谷や三田、白金台や目黒方面のほか、水道橋や巣鴨、板橋などにもアクセスできます。

都営新宿線を使えば、市ヶ谷や新宿をはじめ、逆方向なら馬喰横山や浜町、森下などの下町エリアから、千葉県の本八幡まで行くことが可能です。

神保町の賃料相場

坪単価は、15,000円前後~27,000円前後です。
立地や駅からの距離、ビルの築年数や広さ、共用設備やオフィス環境によっても変動するので、確認が必要です。

まとめ

神保町は、古書街、カレーの街としての歴史を有する街です。出版関連の企業も多く集うオフィス街であり、学生街でもあります。

さまざまなバリエーションのカレーや、学生相手のリーズナブルな飲食店も多く、毎日のランチや仕事後の夕食や飲み会の場所には事欠きません。

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